【ドイツ】酒井高徳の復調で、落ち着きが戻ったシュツットガルト (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by picture alliance/AFLO

「監督は残念そうだった」と、酒井は苦笑いした。ちょうどその頃から、身体は見た目にもすっきりと絞られ、表情にも明るさが戻ってきた。

 実は欧州遠征前、リーグ序盤戦の成績不振を受け、ラバディアは解任の危機にあった。だが、酒井の復調だけが要因ではないが、10月後半から酒井のパフォーマンスが向上していくのと時を同じくして、チームも調子を上げていった。

 それからさらに1ヵ月。今節、シュツットガルトはボルシアMGとのアウェー戦を2-1で制している。運にも恵まれたが、守備では洗練された組織的な堅守速攻の相手に崩されることなく耐え切った。

「ラッキーでしたね」と、酒井は素直な笑顔を見せた。

 立ち上がりこそ相手のスピードに翻弄され、7分に先制されるが、8分にハルニクのヘディングで追いつくと、しだいに落ち着いた対処を見せるようになる。ベンチから眺めていた岡崎慎司にも「悪くない」と映った。

「中は確かに固いけど、サイドは使えているように見えたし、後ろも安定していたから」

 時間と共に、高い位置からの守備も効くようになり、カウンターの出所を抑えることができるようになった。耐え切った結果、岡崎が投入された6分後の72分、クロスの対応を誤った相手のオウンゴールが生まれ、2-1と勝ち越し、勝利を収めた。

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