【スペイン】バレンシア、マラガ、アトレティコ...欧州サッカー活気の源泉 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 バレンシアも99~00、00~01シーズンに連続してチャンピオンズリーグのファイナリストになっている。クラブは繁栄を遂げたが、そこには同時に無理も存在していた。その後、徐々に勢いを失っていった理由は、当時の無理がたたったためだと言われている。

 デポルティーボやバレンシアが欧州を賑わしていた頃、正確に言えば2000年、スペインは、過去5シーズンの欧州クラブ戦線の成績をもとにはじき出される欧州カントリーランキング(リーグランキング)で、イタリアのセリエを抜きトップの座に就いた。2強以外の健闘がポイント上昇の原動力になっていたからに他ならない。スペイン勢はUEFA杯(欧州リーグの前身)でも欧州を席巻。07年にイングランドのプレミアにその座を譲るまで、リーグとしてのレベルの高さ、サッカーのクオリティーを見せつけていた。

 イングランドにその座を譲った理由は、「2強」と「4強」の差だった。当時、レアル・マドリードは低迷していたので、チャンピオンズリーグの優勝争いは、毎シーズン、バルサとイングランドの4強(マンU、アーセナル、チェルシー、リバプール)で争われていた。2強以外の勢力に元気がなくなったスペインと、 4強を形成することになったイングランド。盟主の交替は当然の結果だった。

 だが、イングランドもその4強態勢を長期間、維持することができなかった。昨季はチェルシーがチャンピオンズリーグを制したが、その他の3チームは早々とその舞台から去ることになった。その結果、盟主の座を再びスペインに奪回された。

 スペインには、昨季の欧州リーグでアトレティコ・デ・マドリードが優勝したことも追い風になった。アトレティコは、今季初頭に行なわれたスーパーカップ(チャンピオンズリーグ覇者対欧州リーグの覇者で争われる)でチェルシーを撃破。そのレベルの高さをアピールすることに成功した。

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