2012.11.10

【イタリア】モンテッラが変身させたフィオレンティーナが面白い

  • 内海浩子●文 text by Uchiumi Hiroko
  • photo by Getty Images

 現場スタッフは大所帯だ。アシスタントコーチのルッソはモンテッラがローマの下部組織で監督業をスタートした時からずっと一緒。そこに今季からテクニカル面を補佐する役割でニコラ・カッチャが加わった。カッチャはまだ子供だったモンテッラがプロサッカー選手を目指して12歳の時に飛び込んだエンポリで一緒だったというだけでなく、人口8千人にも満たないカステッロ・ディ・チステルナ出身の同郷でもある。

 面白いのは、戦術分析担当者とは別にセットプレイ担当を設けていること。「CKには4800以上のパターンがある」と説くジャンニ・ビオがその人だ。以前、ゼンガのカターニャがユニークなセットプレイ陣形を取ることで話題になったが、そのアイデアマンだったのが彼である。フィオレンティーナは今季すでに4ゴールをCKから決めているが、今後も面白いパターンを披露してくれることだろう。

 モンテッラはセリエAで初めてGPSを使ったデータ収集をトレーニングに取り入れた監督でもある。彼は戦術以上にフィジカルを重要視しているが、それは非常に短期間ながら、現役時代にフルハムで体験したイングランドのメソッドに影響を受けているようだ。事実、GPSを使ったトレーニングはイングランドではすでに取りいれられているもので、トレーニング中の走行距離、方向転換、スピード、心拍数などがコンピュータ解析され、フィジコのマッラがそれに基づいて個別メニューを組んでいる。これらのデータはコンディションの良い選手を見分ける材料としても使われており、ここまで筋肉系の故障者ゼロという要因のひとつになっている。

 全てが順調そうに見えるが、フィオレンティーナの勝負は始まったばかりだ。4位となり周囲から上位争いへの期待が高まる中で、これからは勝つことがさらに強く要求されてくる。そのプレッシャーの中でも今まで通りのパフォーマンスを続けるのは容易ではないだろう。

 その最初のテストはすぐにやって来る。次節11月11日、サンシーロに乗り込んでのミラン戦だ。ここまで1勝2分2敗と、アウェーでのもろさの克服も課題と言われているだけに、今のフィオレンティーナの力を測る注目の一戦になりそうだ。

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