【イングランド】マンU逆転勝利。香川真司「自ら交代は言いたくなかった」 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

「チチャリート(エルナンデスの愛称)の起用を考えないと」と、ファーガソン監督はこの日のエルナンデスのプレイを賞賛した。

 その2分後。香川は自陣でスライディングをした際に左膝を負傷する。その後のおよそ20分間は足を引きずりながらのプレイが続いた。「自分からの交代、それだけは言いたくなかった」と、ハーフタイムまでピッチに立ち続けた。

 後半に入ると、ファーガソン監督は香川を下げ、ナニを右サイドに投入、ルーニーを左サイドに配した。ドリブラーで縦への突破が得意なナニを入れたことで、マンUらしいカウンターサッカーを見せるようになる。中盤がボールを持てば一気に両サイドに展開、そこからはパワーとスピードで押し切るサッカーだ。

 62分、右CKにエバンスが合わせてまず同点。72分には自陣からエルナンデスがドリブルで駆け上がると右サイドを上がっていたナニにパス。ナニのダイレクトシュートがGKを直撃する。75分には右サイドのクレバリーが低めの位置からファーサイドに一気に長いクロスを入れ、エルナンデスが再び頭で合わせて逆転ゴールを決めた。

 結果は3-2。チャンピオンズリーグは一応これで3連勝、グループ首位に立った。だが、そこにマンUらしい強さはない。香川のあからさまに不本意な様子は、前半の自身のプレイや負傷も一因だが、後半の戦いぶりにも理由があるかもしれない。

「サイドで起点を作ったりすることを意識しましたけど、ビハインドになった展開で難しかった」

 香川は浮かない顔で自分のプレイを振り返った。結局このチームは自分不在の時間帯にカウンターで得点し、力でねじ伏せて勝つ。先週末のリーグ戦ストークシティ戦と同様の展開でもあった。過去のマンUと何ら変わらないそのサッカーに香川は入り切れていない。

 香川にも、そして新しいサッカーのスタイルを模索中のチームにも、まだまだ時間がかかりそうだ。

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