【CL】成績は上々でも実は苦戦続き。評価の難しい今シーズンのバルセロナ

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 CLでは3試合で3失点とそれほど目立たないが、リーグ戦では8試合で11失点。これは、現在上位にいる5クラブに限ると、最低の数字である。

 これだけセンターバックに負傷者が出れば仕方がないとも言えるが(プジョルとピケが長期離脱中)、それ以上にボールの失い方が悪いことが失点の原因だろう。

 セルティック戦でも、守備ブロックの中に入っていけず、横パスをつないだり、強引に割って入ろうとしたりしてボールを奪われ、危険なカウンターを受けるシーンが相次いだ。

 幸いにしてセルティックには、サマラスが前半途中で負傷交代してからは、前線でボールを収めて時間を作ってくれるFWがいなくなったため2失点目こそ免れたが、そうでなければ、0‐1、あるいは1‐1のスコアから傷口を広げていた可能性は高い。

 バルサは今季、すべての公式戦で奪ったゴールのうち70分を過ぎて決まったものが、全35点中13点と総ゴール数の3分の1を越える。早い話が、モタモタしていても結局は得点してしまうということだ。マスチェラーノが「これだけ続けば、もはや運ではない」と話すのもうなずける。

 ボールポゼッションで圧倒していれば、いずれ相手が持ちこたえられなくなり、どこかで点は入る。サッカーは90分の間で、相手より1点でも多く取っていれば勝ち。メッシという最終兵器は健在だし、セルティック戦でジョルディ・アルバが決勝点を決めているように、どこからでも点が取れる。殊勲の左サイドバックが「全員が最後まで戦う姿勢を"また"見せられた」と語ったように、これを勝負強さや底力と見ることは可能だろう。

 しかし、それは王者に敬意を払いすぎた、あまりにもポジティブな見方ではないかとも思う。

 一時代を築いたグアルディオラ前監督が去り、ビラノバ新監督が就任。新生バルサに注目が集まるが、結果とは裏腹のもたつきがどうにも気になる。セルティックに存分に苦しめられた後、新指揮官は言った。

「もう少し楽に勝てるといいんだが」

 今季のバルサはかなり危うい。にもかかわらず、あまりにも勝ち過ぎている。

 どこかで歯車が大きく狂い出す可能性は十分にある。

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