【スペイン】 「情熱の指揮官」。
躍進アトレティコ・マドリード、シメオネ監督の手腕

  • 山本美智子●取材・文 text by Yamamoto Michiko
  • photo by Rafa Huerta

昨季からアトレティコ・マドリードの指揮官に就任したシメオネ監督昨季からアトレティコ・マドリードの指揮官に就任したシメオネ監督
「オレ!オレ!オレ! チョロ・シメオネ!」

 今日もアトレティコ・マドリードのホームスタジアム、ビセンテ・カルデロンにサポーターの応援歌が響き渡る。

 1999-2000シーズン、2部に降格したときは、「そんな時に自分達が背中を向けていたら、誰がクラブを支えるんだ」とばかりに、サポーターが減るどころか前年より増えた。そんな熱いサポーターを抱えているアトレティコ・マドリードだが、それでも、今シーズンほどの盛り上がりは近年になかった。

 それも当然だろう。バルセロナとレアル・マドリードの2強が圧倒的な力を見せてほかのクラブを引き離していたスペインリーグで、今季、開幕からすでに2カ月が経過した今も、アトレティコ・マドリードが全試合無敗で、事実上、あのバルセロナと同じ勝ち点19で首位を争っているのだ。首位バルサとの差は、得失点差でたったの2。いつ順位が入れ替わってもおかしくない。

 このアトレティコの強さは、監督のディエゴ・シメオネ(※愛称はチョロ)のおかげだ、と選手はみんな口を揃える。

 実際、シメオネは、ヨーロッパリーグで15連勝という、サッカー史上かつて誰も達成したことのない記録を更新中だ。アトレティコは昨年の10月20日から、ヨーロッパリーグで1試合も落としていない(昨季の決勝で同じスペインリーグのアスレティック・ビルバオに勝利して優勝)。

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