【南米】アルゼンチン代表でメッシが輝きを取り戻した理由 (2ページ目)

  • 三村高之●文、写真 text & photo by Mimura Takayuki

 しかし監督がサベーラとなり、名実ともにキャプテンを任されてからは、自分のプレイスタイルを押し通すようになり、それが功を奏している。この2試合の3ゴールで代表での通算得点は31となり、歴代3位のマラドーナ(34得点)と2位のクレスポ(35得点)を抜くのは時間の問題。1位であるバティストゥータの56得点を超える可能性も十分にある。

 アルゼンチンの好調は、サベーラ監督の手腕によるところも大きい。攻撃の布陣は3人のFWを1-2の形で置き、中盤を左右に開かせてオープン攻撃を多用している。特に左MFのディ・マリアの存在は大きい。これまでも同じポジションでプレイしていたが、動きすぎて中央での戦いに巻き込まれることが多かった。しかし現在はサイドに張ってチームプレイに徹している。3人のFWが中で相手選手を引きつけるため、開いていればフリーになれる。そのためメッシらはいつでも彼にパスを出すことができ、それが攻撃の幅と余裕を生み出した。

 選手層が厚いFW陣だが、そこには変わり種の新戦力が現れた。28歳のバルコスだ。代表選手といえば、若い頃から名の売れたエリートばかり。しかし彼は2004年にプロデビューするもパッとせず、パラグアイ、エクアドル、セルビア、中国などでプレイ。昨年エクアドルのLDU・キトでブレイクし、今年はブラジルの名門パルメイラスへ移籍して17得点をあげている。8月に国内組代表に選ばれ、先の予選2試合ではともに後半途中から出場。ウルグアイ戦ではオフサイドながらシュートを突き刺し、遅咲きの雑草魂を魅せつけた。

 全18節の長丁場を折り返した南米予選だが、南アW杯出場国で上位にいるのはアルゼンチンだけ。コパ・アメリカ優勝のウルグアイは連敗を喫して5位。一時首位に立っていたチリは6位まで後退した。パラグアイにいたっては最下位だ。一方、エクアドルとコロンビアが2位、3位と健闘している。予選はしばらくの中断を挟み、来年3月22日と26日に第11節と第12節が行なわれる。

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