【スペイン】メッシとロナウドが輝くも、バルサとレアルに存在するチームの停滞感 (3ページ目)

  • 山本美智子●取材・文 text by Yamamoto Michko
  • photo by Getty Images

 試合終了まであと10分という時間に、カカを投入したものの、モウリーニョいわく「エジルが疲れきっていたのが、唯一、彼を代えた理由」であり、その後、ディ・マリアに代えてエッシェンを入れていることからも、その言葉に嘘がないことはわかる。

 ロナウドが後半21分に2点目を決めたため、その時点で同点であり、ロスタイムを含めればまだ10分近く時間はあったのだ。そして、レアル・マドリードは、リーグ戦では勝ち点で8の差をつけられて、首位のバルサ(7節終了時点で勝ち点19)を下から眺めている状況にあるにもかかわらず、最後の10分でドローを死守する戦術を展開したモウリーニョに、レアルファンの一部は失望したのではないだろうか。

 左肩を捻挫し、腕があがらなくなっても、ピッチでチャンスを狙うロナウドにチームは救われているものの、レアルの戦術はお粗末だったと言われかねなかった。

「観客が楽しむことのできるすばらしい試合だった。どちらが勝つか、最後までわからなかった」と試合後にモウリーニョは話し、「2年前、バルサは私達よりずっと高い位置にいたが、今、私たちは同等のレベルにいる」と今回の結果に胸を張った。

 結果だけ見ればそうかもしれないが、これは真実ではない。クラシコが終わった今、依然として目の前には勝ち点差「8」が両者の間に立ちはだかっているのだ。

 2年前からチームは確実に老朽化し、モウリーニョ自身が望んで獲得したシャヒン、コエントラン、モドリッチなど新戦力はうまくフィットせず、スタメンの顔ぶれはほとんど変わっておらず、一部に停滞感もある。

 バルセロナにしてもそれは同じで、軸になるスタメンは変わっていない。レアルのホーム、サンチャゴ・ベルナベウでのクラシコで「6-2」という勝利をした時から、ピケもプジョルもチャビもきっかり2年分、年をとっている。

 あのときのバルセロナはほぼ「歴史」と化していることを痛感しているからこそ、グアルディオラは去り、ビラノバはバルトラを育てようとしているのだろう。

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