【イングランド】CL連勝のマンU。大胆ターンオーバーから見えたもの (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by GettyImages

 その後、マンUはファン・ペルシーが流動的に動くことで、ゴールに迫る形ができるようになる。引いてパサーにもなるルーニーとの関係で相手を崩すシーンも見え始める。29分の同点弾は、左サイドからのルーニーのFKをファン・ペルシーが肩で決めたもの。後半に入って49分の逆転弾も、右サイドからルーニーがDFとGKの間に緩やかなクロスを送り、ファン・ペルシーが走り込んで押し込んだ。

「欧州でのアウェー戦は簡単ではない。彼ら(クルージュ)は良いチームだ」と、ファーガソン監督は勝利したことに満足の様子だ。
 
  結局のところ、ルーニー、ファン・ペルシーのコンビが機能しての逆転劇だった。1点はセットプレイからで、もう1点はサイドのクロスから。中央からの攻撃はなかなか決定的な形にはならないのが悩ましいところだ。逆にいえば、ボールを支配していなくても、強力な前線が力を発揮するのがこのチームの強みなのかもしれない。中盤がどうであれ、決めてくれるストライカーがいるというのは頼もしい。

 だが、ルーニー、ファン・ペルシーが替えの利かない存在になるというのは、諸刃の剣でもある。彼らの活躍に、香川真司は厳しい表情を見せる。

「ビッグクラブですし、みんなが試合に出れば決める。僕も次は決めたい」

 この日、出場しないことは監督から話があって決まったそうで、それについては「別に落ち込んではいないです」と、笑顔も見せずに語った。ここ最近の香川の表情は、たとえ得点をしても固く厳しい。

 次節ニューカッスル戦では先発が濃厚だ。出場機会が訪れたなら、メンバーがどうであれ、そしてたとえ中盤から好パスがこなくても、結果を残さなくてはならない。そんな厳しさをベンチから目の当たりにした一戦になったのではないだろうか。

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