【イングランド】マンU敗北。
ルーニー復活で見えた香川真司の新境地

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by GettyImages

トットナム戦に先発、後半9分に2点目をあげた香川トットナム戦に先発、後半9分に2点目をあげた香川 マンチェスター・ユナイテッドの流れるようなゴールシーンだった。後半9分、ファン・ペルシーからのパスを最終ラインの間でゴールを背にして左足でトラップした香川真司は、鮮やかなターンで相手CBをかわした。詰めてきたGKの体勢を見極めると、左足でゴール左隅に流し込んだ。

 だが、得点にも香川は笑みさえ見せなかった。厳しい表情のまま拳を握り雄叫びをあげると、自陣へと踵を返しながら味方選手とハイタッチを交わすのみ。喜びの表情はそこにはないままだった。得点はまだ2-3でリードされている。勝利を義務づけられた名門ならではの態度なのか。それとも、香川が置かれている状況を表す表情なのか。

 ホームでのトットナム戦。香川はいつものように4-2-3-1の2列目中央で先発した。ファン・ペルシーをトップに、香川はその下で動き、右にナニ、左にギグスとそれぞれに特徴を持った選手が並んだ。だが、試合開始わずか2分に先制して勢いづいたトットナムに押されたこともあるのだろうが、香川になかなかボールが入らない。

 ダブルボランチを組むスコールズとキャリックは、ゴールの裏を狙うか、もしくは両サイドへ展開するのみ。香川自身は最終ラインと中盤の間でたくみに動き回ってはいるが、効果的に使われる回数が少なすぎる。26分にはエバンスからの縦パスを受けるが位置が低すぎた。37分にはサイドバックの位置まで下りてディフェンスをし、42分には相手ディフェンスラインの前でパスを受けるが、トラップが上手くいかずボールは相手に渡るなど、前半はいいところがなかった。香川自身の出来も決して褒められたものではないが、トップ下を置くフォーメーションにマンUの選手達が慣れないことも大きな要因だろう。結局、可能性をなかなか見いだせず、0-2で折り返すことになった。

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