【オランダ】フィテッセ監督が語る「ハーフナー・マイクをMFで起用する理由」 (3ページ目)

  • 中田 徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 生粋のストライカー――。そう世間一般に思われているハーフナーに対し、ルッテン監督は明らかに他の者とは違う目で見ている。たった1試合のチャレンジに終わったが、8月2日のヨーロッパカップ予選・アンジ戦で、ハーフナーはボランチとして20分間プレイした。また、9月26日のKNVBカップ2回戦・ヘメルト戦では、トップ下、左ウイング、右ウイングと、2列目の全ポジションをこなした。

「ボランチはもう見切られたと思う(苦笑)。でも監督は、やたら俺をいろんなポジションで試したがるんですよね。『お前は器用だから、どこでもできる』って」

 昨季、ハーフナーがストライカーとしてピッチに入ると、味方は長身の彼をターゲットにどんどんロングボールを蹴った。しかし今季、チームの新監督に就任したルッテン監督は、ハーフナーの足もとの技術と戦術眼を見抜き、複数のポジションを経験させることで、よりたくましいサッカー選手に育てようとしている。

「ハーフナーは今、どんどん強くなってきている。彼の父親はオランダ人だけど、ハーフナー自身のふるまいは日本人。オランダ人は何か言われると『うん、そうだけど』って言い返して来るけれど、彼は決してそんなことを言わない。一緒に仕事をしていて楽しい選手だ。今、我々はハーフナーをより強い選手にするためのプログラムを組んでいる。彼は間もなく、その成果を手にするだろう」(ルッテン監督)

 多くのポジションを経験していることについて、ハーフナーは「プレイの幅が広がっていると言えば、広がっているんじゃないですか。成長はしていると思う。監督も『お前が今、一番成長している』って言ってくれています。じゃ、なぜベンチなの? というのが自分の中ではありますが……」と、苦笑交じりに語っている。

 なぜ、ベンチなのか――。今、ハーフナーはそこを考えながら、確実に自分自身が成長している手ごたえを感じてプレイしている。


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