【スペイン】レアル、スーパーカップ優勝。タイトル以上の大きな意味とは? (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi
  • ムツ・カワモリ●写真 photo by Mutsu Kawamori/MUTSU FOTOGRAFIA

 ただ、ダニエウ・アウベスの試合直前の故障、アドリアーノの退場と、バルセロナに不運が重なったのも確か。その中で自分たちのサッカーを貫くことができたのはバルセロナが力のあるチームであるからに違いない。新監督にはそれだけで満足することなく、今後は勝利を手元に引き寄せる手腕が求められていくだろう。

 レアル・マドリードにとってこの試合は、タイトル以上に大きな意味があった。今シーズンはこれまで、エース、クリスティアーノ・ロナウドの不調とシンクロするように覇気のない戦いが続いていた。だが宿敵相手に縦に速いサッカーで五分以上に戦い、結果を手にしたのである。芸術的なヒールでボールをつなぎ、決勝点となる2点目を決めたロナウドの復調も、チームに弾みをつける。また、サンティアゴ・ベルナベウでの4年ぶりの勝利は、バルセロナに対する苦手意識を払拭させ、自信を持つという意味でも大きかった。

 さらにレアル・マドリードのこの日の収穫はモドリッチだ。先日チームに加入したばかりのクロアチア代表MFはロスタイムに決定機をつかむなど、チームに欠けていた攻撃のつなぎ役というピースを演じてみせた。これまではエジルひとりがその役割を担っていたが、レアルはこれでエジルが不調のときのバックアッパーと、2人のゲームメーカー起用というオプションを手に入れた。

 シーズン最初の勝負はレアル・マドリードに軍配が上がったが、両者の力は均衡している。リーガではすでに両チームの間に勝ち点差5の開きがあり、バルセロナがアドバンテージを手にしている。だがシーズンは始まったばかり。レアル・マドリードが王座を防衛するのか、それともバルセロナが奪回するのか。長い戦いが続く。

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