【ドイツ】新天地で開幕デビュー。宇佐美貴史がようやく見つけた場所 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • 木場健蔵●写真 photo by Koba Kenzo

「合流が遅れて、戦術理解が遅れていると思われている。でもその点も副コーチと話し合いながらやっているし、今日は『守備も良かった』と言われた」と、ボルシアMG戦後の宇佐美は語っている。バイエルン時代は「コーチとこんな話をした」などという話はほぼ聞かれなかった。現在はだいぶ円滑にコミュニケーションがとれているような印象を受ける。

「今のチームでは通訳がいないから、自分から入っていかなくてはいけない。でもそのおかげで、自分から(みんなの中に)いけるようになったと。そこがバイエルン時代からの成長かな。別に人見知りというわけじゃないと思うんですけど、自分からはいきづらいというか......」

 ボール回しなど、ちょっとした練習の風景を見ても、昨季の宇佐美は孤立していた。だが、今はサブ組と楽しそうにボールを蹴っているシーンを見ることもできる。「ドイツ語でのコミュニケーションは、まあ、なんとかですよ。負けてはいるけれど、いい感じです、チームは」と話す姿は、少し嬉しそうでもある。

 バベル監督は開幕戦後、宇佐美についてこう語っている。

「もちろん移籍には(良い選手だから獲得したという)理由があるからね。彼はサッカー少年だ。大事なのは彼自身がこれからもたくさん練習しなければいけないことを分かっているということだ。彼が分かっていることを私は知っている」

 結果を求めながらも、どうやら選手をじっくりと見てくれる監督でもあるようだ。ブンデスリーガでの2シーズン目。宇佐美はようやく安定した自分のいるべき場所を見つけたのではないだろうか。

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