【イングランド】なぜリバプールの成績はここまで悲惨なのか (3ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki
  • photo by GettyImages

 そのあたりを考えながら上の表を見直すと、いくつかわかることがある。第一に、マンチェスター・ユナイテッドの監督アレックス・ファーガソンが、選手年俸から予測されるものより上位の成績をあげつづけていることだ。2010~11シーズンには選手年俸がチェルシーとマンチェスター・シティよりかなり少なかったのにリーグ優勝を果たし、昨シーズンはわずか1ゴールの差でタイトルを逃した。

 第二に、アーセン・ベンゲルも15シーズン近くにわたって、選手年俸から予測できるものより上位の成績をあげつづけていることだ。ここ7シーズンはタイトルから遠ざかっているが、アーセナルファンはベンゲルについて不満を言うのをやめるべきだ。アーセナルの選手年俸では、そもそもベンゲルはリーグ優勝を狙えない。この点は今シーズンも変わらないだろう。

 ところがこの表の上位に、まったくもって情けないチームがひとつある。リバプールだ。2010~11シーズンには選手年俸が4位だったのに、実際の順位は6位だった。シマンスキーの推定によれば、この年のリバプールは選手年俸から予測できる順位を下回った幅がリーグで2番目に大きかった(最も大きかったと考えられるのはウェスト・ハム)。昨季は1953~54シーズン以来最低の勝ち点で8位に終わっているから、選手年俸との関係ではさらにひどい成績だったといえる。

 このところのリバプールの悲惨な成績は、ある意味で驚くべきものだ。リバプールは2010年秋、スポーツ界でも名の知れた倹約家であるアメリカ人のジョン・ヘンリーの手に渡った。メジャーリーグのボストン・レッドソックスのオーナーでもあるヘンリーは、データを重視する「マネーボール」式のチーム運営術を駆使して、86年間に及んだ「呪い」を解き、レッドソックスを4年間に2度のワールドシリーズ制覇に導いていた。ヘンリーはイングランドで「マネーボール」のサッカー版をやろうとした。リバプールにデータを活用させ、選手年俸から予測できるものより上の成績をあげさせようとした。

 ところがリバプールがやったのは、まったく逆のことだった。選手年俸に見合う順位よりはるかに下位に終わったのだ。しかも選手年俸の総額が半分にも満たないエバートンより下位だったことには、素直に驚いていいだろう(これはエバートンの監督デイビッド・モイーズへの賛辞でもある)。いったいリバプールはどこがまずいのか? どうすれば逆襲に転じられるのか?

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