【スペイン】 バルセロナ・ビラノバ新体制のシーズン開幕。グアルディオラ時代からの変化は? (2ページ目)

  • 山本美智子●取材・文 text by Yamamoto Michko
  • photo by Rafa Huerta


 公式戦の2試合のみで、今季のビラノバ体制を占うのは時期尚早と思うが、それでも、この変化が選手にポジティブな空気をもたらしているのは、確かなようだ。

 最初のリーグ戦が終わった後にメッシは、クラブのインタビューに応じ、グアルディオラからビラノバに監督が変わったことについて「まるで変化は感じない。練習している顔ぶれにも、変わりはないしね」と今までの路線が続いており、選手にとって監督が変わることによる動揺や変化がないことをはっきりと提示した。

 実際、ビラノバは、
■栄養管理のため、トレーニング後はできるだけ全員が練習場で食事をとる
■ホームでの試合当日は、昼間スタジアムで簡単な練習を行なうが、試合までは家でリラックスさせる
■ビッグマッチの前は選手にできる限りオフを与える

など、グアルディオラが取り入れてうまくいっていたメソッドを、そのまま継続している。

「機能しているチームのスタメンを変える必要はない」という言葉があるが、スタメンに限らず、広い意味でビラノバはそれを実践しているのだ。

 多くの監督が自分のカラーを無理やり出そうとして失敗するが、グアルディオラほどのカリスマ性はないビラノバは、その分、自分のカラーは二の次にして、まずはチームありきの行動がとれる。それは、個性の強い集団を率いる監督に必要な資質のひとつといえるだろう。

 以前、銀河系軍団と呼ばれた時代のレアル・マドリードを率いたデル・ボスケ監督(現スペイン代表監督)に似た、謙虚さと不必要に前に出ない賢さがあるのだ。

 また、中心選手のひとり、セスク・ファブレガスも公の場ではっきりとグアルディオラからビラノバへの変化を歓迎したひとりだ。セスクは「グアルディオラとは、彼がやりたいシステムの内容について、今ひとつ理解しあえなかった」とお互いのフィーリングが合わなかったことを暴露。一方ビラノバについては「13歳のときにすでに指導してもらっていたし、僕のことを小さい頃から知っている」と信頼を寄せた。

 昨年、その実力が疑問視されたセスクやピケ、負傷もあったがほとんどグアルディオラに起用されなかったペドロなどが、今季再び輝きを取り戻しつつあるのは、監督の交代劇があってのことだ。長丁場のリーグ戦で、どこまでこのテンションを維持していけるかがビラノバの手腕の見せ所だろう。

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