【イギリス】韓国の前に敗退したチームGB、現地の盛り上がりは? (2ページ目)

  • 栗原正夫●文 text by Kurihara Masao
  • photo by GettyImages

「チームGBはモダンでインターナショナルなサッカーをしようとしている。中盤をコンパクトにして、ボールをキープし、サイドからのスピードで攻撃している」

 かつてリバプールなどで活躍した解説者のアラン・ハンセンはこう解説する。

「(ウルグアイ戦も)会心の試合ではなかったが、プラス面はたくさんあった。初めての無失点でやるべきこと(グループ突破)を果たした。チーム内に意思の疎通が感じられ、勝利への気迫も十分だった。残り15分にはチームがどれほど成長してきたかが感じられたし、こうなったら何が起きても不思議ではない」

 だが、残念ながらその試合翌日もチームGBの報道はそれほど大きなものではなかった。同日には他の競技でGBに今大会初の金メダルが生まれており、1面を飾ったのは金メダルに輝いたボート女子ペア競技のヘレン・グローヴァー、ヘザー・スタニングのコンビと、男子自転車タイムトライアルのブラッドリー・ウィギンスだった。

 初戦のオールド・トラフォードでのセネガル戦は72176人、GBとしての勝利は1960年の五輪以来となったウェンブリーでの第2戦は85137人、そしてカーディフのミレニアム・スタジアムでのウルグアイ戦にも7万人を超える観衆が集まった。ただ、スタジアムの盛り上がりほど、一般のサッカーファンはチームGBに興味を抱いていない。

 ちなみにウェールズの首都カーディフでの一戦については、五輪開幕前から観客の反応が心配されていたが、懸念されていた国歌へのブーイングなどは聞かれなかった。

 そして迎えた準々決勝の韓国戦。場所はグループリーグ最終戦と同じカーディフ、ウルグアイ戦を休んだギグスも戻ってくるとあってGB有利との見方もあったが、試合は120分を1-1で終え、PK戦で敗退した。

 この試合に勝ってメダル獲得がかかれば、これまで冷ややかだったファンも無関心ではいられなかったはずだが、結局、チームGBはイギリス国民を振り向かせることなく大会を去ることになった。

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