2012.07.03

【EURO】総括!実力的にスペインと遜色なかったドイツ、ポルトガル

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 原悦生●写真 photo by Hara Etsuo

 フランスも右肩下がりを示している。スペイン戦での負けっぷりは、かつての王者の威厳をもはや感じることはできない情けないものだった。アフリカ系の選手で固める弊害を見た気がする。フランスとは何か。少なくともフランス人らしい洒落っ気を、プレイの中に見いだすことができないのだ。

 負けっぷりという点で最も豪快だったのはオランダ。激戦のグループとはいえ、W杯準優勝チームの3連敗を予想した人はどれほどいただろうか。オランダらしいと言えばそれまでだが、新戦力が育っていないことも確か。過渡期を迎えている気がする。

 フランスとオランダ。しかし両者には決定的な違いがある。それは現地を訪れた観戦者の数だ。オランダは今回も、ドイツ、イングランド、アイルランドとともに、多くの観戦者を現地に送り込んできたが、フランス人の姿は対照的にごく僅かしか見かけなかった。出場国の中で最も少なかったといっても言い過ぎではない。これは前回のスイス、オーストリア共催大会でも目立ったが、その右肩下がりぶりは今回、いっそう顕著になっていた。

 その次に少なかったのはイタリア人。スタンドに応援団という集団を形成できない姿を見せられると、正直、優勝しそうなムードは湧いてこない。この準優勝で代表チーム人気は回復するだろうか。

 スペインはかつてフランス、イタリア以下だった。強そうなメンバーを揃えているのに勝てない原因は、その観戦者の数を見れば即、納得できた。それが前回あたりから急に数を増やし、今回は、優勝に必然を感じるほど多くの観戦者をウクライナ、ポーランドに送り込んできた。このスペイン人の変身ぶりには驚くばかり。これは永久のものなのか、一時的なものなのか。

 今大会の驚きを最後にもうひとつ。それはスタジアムの素晴らしさだ。どのスタジアムも急傾斜。見やすいのだ。モダンで快適。それがテレビでどれほど伝わったかは定かではないが、その場で繰り広げられているサッカーのレベルの高さ以上に驚かされた。ピッチの上の攻防を俯瞰で、 それこそ上から目線で眺めると、サッカーのゲーム性はより際立つ。この視点なしに、他の国が欧州の強者たちを倒すことは難しいのではないかと僕は思う。

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