【EURO】狙いが明確なスペインの前に、またも自滅したフランス

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • 原悦生●写真 photo by Hara Etsuo

2ゴールをあげた勝利の立役者、シャビ・アロンソ2ゴールをあげた勝利の立役者、シャビ・アロンソ 大方の予想通り、スペインがフランスに完勝した。試合を通して圧倒し、フランスの枠内シュートをわずか1本に封じ込めた。スペインがグループリーグで見せていた、ちょっとした守備のすきもない、まさに圧勝劇だった。

 惜しむらくはフランスのスターティングメンバーである。最高の戦力で戦ってさえいれば結果が違った可能性さえある。それほど1次リーグのフランスとは全く違ったパフォーマンスで、不本意なまま大会を去ることになった。

 フルメンバーのスタメンを組めなかった理由は内紛だと言われている。敗れたスウェーデン戦後、ディアラ、ナスリ、ベンアルファが口論をしたというのだ。「選手や指揮官を始め、スタッフとの口論はよくあること」と、ブラン監督の話は自然だった。おそらくどのチームにだってそれはあるだろうし、我々の日常生活においても職場の中でちょっと激しい意見交換ぐらいはあるものだ。

 ただ、それがスタメン選びにまで影響するとなると、"よくあること"の域を超えてしまう。何かしらのルートで情報を仕入れ、内紛劇を最初に伝えたレキップ紙にとっては大スクープだったが、その報道が不本意な結果を呼ぶ一因となったのだとしたら、自国の足を引っ張ったことになる。

 報道のせいなのか、それとも報道はなくともこの試合のメンバーはこうだったのか、本当のところはわからないが、ブラン監督は中核をなすディアラと攻撃の軸ともいえるナスリを外す決断をした。右サイドバックには初先発のレベイエールを起用し、ディフェンダー登録のドビュシをその前で使った。

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