【EURO】クロアチアに辛勝も、明らかになったスペインの弱点 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 クロアチアは後半33分にも、両サイドを大きく使う展開から、交替で入ったペリシッチが惜しいシュートを飛ばしたが、全体としてチャンスの数は数えるほどだった。スペインがせっかく甘い球を投げてくれるのに、打てなかった。打ち気満々というわけではまるでなかった。

 その布陣は、試合前のUEFAの紹介によれば4-2-3-1と紹介されていたが、試合後にUEFAが発表する「アクチュアルフォーメーション」(実際の布陣)のデータに基づけば4-3-2-1を描いていた。守備的サッカーの典型と言われるピラミッド型をしていた。5バックに見える時間もかなりあった。スペインを必要以上に怖がるサッカーをしてしまった。

 この試合に勝利しなければグループリーグ敗退が決まるクロアチアが、ようやく斬るか斬られるかの戦いに出たのは80分過ぎ。残り10分になってようやく本気で攻め始めた。すると88分、手薄になった守備をスペインに突かれ、交代で入ったヘスス・ナバスに決勝ゴールを奪われてしまった。

 とはいえ、「さすがスペイン!」 という感じでもなかった。「スペイン強し」という印象は沸いてこなかった。2年前、4年前より危なっかしい。クロアチアのように怖がらず、その脇の甘さを理詰めで突いていけば、どのチーム(日本でさえも)にも倒すチャンスはあると僕は見る。その弱点は少なくとも俯瞰から見た目にはハッキリと写っている。

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