【EURO】04年、監督の采配が生んだチェコ対オランダの大逆転劇

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Gettyimages

コラーのゴールからチェコの逆転劇が始まったコラーのゴールからチェコの逆転劇が始まった思い出の名勝負(2)

 アベイロという風光明媚な水郷の街で行なわれた一戦。この大会のために、街外れの丘陵地に建てられた「ムニシパル」は、座席シートがカラフルにペイントされた新設スタジアムで、そのカラーリングには、人を上機嫌にさせる効能があるのだという。

 オランダのナショナルカラーであるオレンジ色にもまた、人をにこやかにさせる効果があるという。スタジアムを訪れた観衆は、そのオランダサポーターの方がはるかに多かった。そしてオランダ代表は、そのいつにも増してノリのいい大声援に押されるように、開始早々から試合を優勢に進める。舞台とオランダの相性は、すこぶるよい関係にあった。

 ユーロ2004ポルトガル大会。グループリーグD組第2戦、オランダ対チェコは、前半19分までにオランダが2点を先制する一方的な展開になった。

 バウマが挙げた1点目のゴールも、ファン・ニステルローイが挙げた2点目も、左ウイング、ロッベンのセンタリングによるものだった。ロッベンはキレキレだった。マーカーのグリゲラは、ちんちんにされていた。

 D組は、オランダ、チェコの他にドイツ、ラトビアがいるグループで、ラトビアを除く3チームが競り合う展開と目されていた。初戦でラトビアを2-1で下したチェコに対し、オランダは宿敵ドイツに1-1で引き分けていた。同点ゴールは81分。負けそうになった試合を拾った恰好だった。

 監督のアドフォカートは、4-2-3-1で臨んだ前戦とは異なり、頭からより攻撃的な中盤ダイヤモンド型の3-4-3(3-3-3-1)で、難敵チェコに向かっていった。

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