【CL】バイエルンの敗因を分析。カギはメンバー交代にあり (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Shigeki Sugiyama
  • photo by Mutsu KAWAMORI/MUTSU FOTOGRAFIA

 わざわざ守備的にサッカーをシフトして、それで同点ゴールを浴びてしまったショックは大きい。だったら今まで通り戦っていればよかったとは誰もが思うこと。この後悔は精神的にこたえる。必要以上に。こんなハズではなかったと思いながら、バイエルンは残りの時間を戦うハメになった。

 延長前半4分、冒頭で述べたようにバイエルンはロッベンがPKを失敗したが、これもメンバー交代によって生まれた悪い流れの産物と言いたくなる。バイエルンはこの時、チェルシー以上に、“絶対負けられない戦い”を強いられていた。チェルシーより身体を強ばらせながらプレイしていた。

「赤」がスタンドの3分の2強を占めたスタンドの風景がそれに輪を掛けた。「赤」の大群が必要以上に固くなっている様子は手に取るように伝わってきた。当初存在したホームの利は、逆に不利にさえ見えるようになっていた。

 PK戦の結末も、始まる前からなんとなく見えていた。キッカーにかかるプレッシャーは、チェルシーよりバイエルンの方が数段上だった。ミスターバイエルン、シュバインシュタイガーの失敗には、十分すぎる必然を感じた。

 終盤リードしてもペースを落とすな。下手に守るな。引いて守るのではなく前から行け。もはやこれは近代サッカーの鉄則といっても言い過ぎではない。この試合はあらためてそのことを痛感させられた一戦だった。

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