【ドイツ】香川真司が語ったドルトムント「優勝までの道のり」 (4ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • 木場健蔵●写真 photo by Koba Kenzo

 この日はミックスゾーンで内田から「シンジ、来年どこいくの?」と冗談で聞かれ、「オレ、帰っていいですか?」と、踵(きびす)を返そうとするシーンも。笑いでごまかしてはいるが、それなりにナーバスになっていたに違いない。

 32節.ドルトムントはホームでボルシアMGを下し、早々と優勝が決まった。試合を決める追加点に、指揮官もベンチを飛び出し香川を抱き上げた。「もう泣きそうだった」と、喜びを表現した。試合後の香川はほろ酔い状態。チームとしては前半戦の不調を克服しての優勝だったが、「ターニングポイントはない。チームとして努力した証」と、その言葉は力強く自信に満ちていた。

 最終節はホームでのフライブルク戦。この日は優勝カップに相当するマイスターシャーレ(皿)の授与式が行なわれ、「簡単に勝てないシーズンだっただけに充実感がある」と振り返った。だが去就がらみの質問が相次ぐからだろうか、表情は硬い。優勝が決まった後、日本のメディアに掲載されたインタビュー内容が本人の意思と食い違い、それが拡大解釈されビルト紙に掲載されて、ドイツ国内で大きな話題となった。そんな心労が表情に表れたのかもしれない。

 月並みではあるが、優勝までの道のりは平坦ではなかった。山あり谷あり。率直でシンプルな香川のコメントの数々がそれを物語っていた。

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