【ドイツ】香川真司が語ったドルトムント「優勝までの道のり」

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • 木場健蔵●写真 photo by Koba Kenzo

 一方ではこの頃から香川に疲労感がにじみ始めた。「これが優勝争いの雰囲気なのか」と、昨シーズンはケガで経験できなかった空気にも驚いていた。29節ボルフスブルク戦では得点こそなかったものの活躍を見せ、「相手ホームでイヤな感じがしたが、負けなくてよかった」と、安堵の表情を見せた(結果は3-1)。

 30節は首位争いの大一番、バイエルン戦。そして31戦はドルトムントにとって何よりも大事なルールダービーのシャルケ戦だ。今季の正念場を前に、「2連勝したら大きい。プレッシャーを楽しみたい」と、気持ちを高ぶらせた。

  だがそのバイエルン戦とシャルケ戦は相手のマークも厳しく、自身のプレイは出し切れなかった。バイエルン戦ではチャンスを迎えるも決め切れず、1-0で勝利を収めたにもかかわらず、「このプレッシャーの中で結果と存在感を出したかった」と、固い表情だった。

 続くシャルケ戦(結果は2-1)では、むしろ活躍を見せたのは内田篤人のほうだった。高い集中で、激しいディフェンスと持ち前のスピードを生かした攻撃は今季一番の出来だった。香川はと言えば「前節でやりきった感が出てしまい、集中するのが難しかった。動きの質と量が上がらず、ミスが多かった。試合終盤はせめて守備で貢献しようと思った」と苦笑い。

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