【ドイツ】香川真司が語ったドルトムント「優勝までの道のり」 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • 木場健蔵●写真 photo by Koba Kenzo

 そんな矢先の2月15日、香川は練習中に足首を負傷する。22節ヘルタ戦は香川抜きで臨み、苦しみつつも勝利を挙げた。クロップ監督は日本人記者の質問に対して「香川がいないということはどのチームにとっても大変なことだろう? でもうちは良く闘ったと思うし実際に勝利した」と、コメント。後日、香川にクロップのこのコメントを伝えると「最高の褒め言葉じゃん」と、溶け出さんばかりの笑顔を見せていた。

 23節、ホームでのハノーバー戦には無事先発復帰。そのまま日本代表戦のため帰国した。だが24節、25節と、今度は膝にサポーターを巻いてプレイ。「疲れもたまっている」と、本人は説明した。

 その25節は仲の良い細貝萌のアウフスブルクと対戦。細貝に命じられた役割は「香川封じ」だった。途中激しくマッチアップするシーンが何度も見られた。結果は細貝が勝利し、70分に香川はピッチを退き、試合はスコアレスドローに終わっている。試合後、香川は「シュートも打てずチャンスも作れず悔しい」と仏頂面で語った。細貝はキッカー誌が選出す るこの試合のマン・オブ・ザ・マッチとこの節のベストイレブンに選出された。逆に言えば香川封じはそれほど注目に値する仕事だということだ。

  26節は3月17日、23歳の誕生日だった。この日は彼にとって忘れられない一日になったことだろう。この試合で唯一の得点を前半8分に決め、これが昨シーズンの自身のゴール数を越える9点目となった。「公式戦でのバースデーゴールは記憶にない。すばらしい誕生日になった」と、笑顔を見せた。ドルトムントはチャンピオンズリーグの過密日程で苦しむバイエルンを尻目に勝ち星を重ねる。優勝が現実味を帯びてきた。

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