【CL】「敗戦の理由が見つからない」。
美しく散ったバルサが貫いた美学

  • 山本美智子●取材・文 text by Yamamoto Michiko
  • photo by Rafa Huerta

バルセロナはチェルシーとのセカンドレグで2-2と引き分け、決勝進出を逃したバルセロナはチェルシーとのセカンドレグで2-2と引き分け、決勝進出を逃した
「攻撃は最大の防御なり」。果たして、その逆もまた真なのか。最上の防御は、最高の攻撃であるとチェルシーは証明したことになるのだろうか。

 チャンピオンズリーグ準決勝セカンドレグは、ホームでのファーストレグで1-0と勝利し、第2戦のアウェーで守りに徹したチェルシーが、最後まで攻める姿勢を崩さなかったバルセロナと2-2で引き分け。通算3-2で決勝進出を決めた。

「私達が決勝の舞台に立つことについて、まったく疑っていない。そうなってほしくないと思っている人達もいるかもしれないが」。試合前の記者会見では、皮肉を交えて、そう断言していたグアルディオラだったが、決勝進出を逃した試合終了後、1時間過ぎてから、ようやく会見場に顔を出した。

「とても大きな悲しみを感じている。私はおおげさに表現する方ではないので、そう見えないかもしれないが、いろんな感情を内に抱えている」と内心を吐露するその口調はいつもどおり、穏やかだった。

「チェルシーの素晴らしいディフェンシブな仕事を褒め称えるだけだ」と敵の鉄壁ディフェンスを認めたが、同時に「チームを見て、どこが悪かったのかわからないし、私達がどうして決勝に行けなかったのか、まだ敗戦の理由が見つからない」と、今回の敗戦について、まだ、分析しきれずにいることも明かした。

 数字は如実に語っている。バルセロナがこの試合で放ったシュート数は17、コーナーキックが10回、一方のチェルシーはシュート数7にコーナーキックは1回、ボールポゼッションに至っては、バルセロナの72%に対し、チェルシーは28%と一方的にバルセロナが攻めていたことがわかる。また、バルセロナには十分な勝算があった。

 セカンドレグをホームで戦うメリットだけでなく、前半36分にはジョン・テリーにレッドカードが出されたために比較的早い段階から数的優位に立つことができたし、43分にはイニエスタが2点目を決め、この時点で第1戦に負けたツケは全てクリアになったはずだった。

 また、グアルディオラ自身、先週末のリーグ戦、クラシコの時とはメンバーをがらりと変えて大胆な布陣で臨んだ。通常ならスタメンの右サイドバック、ダニエウ・アウベスを外し、マスチェラーノ、ピケ、プジョルのセンターバック3人を起用する3-4-3システムを決行し、セスクとクエンカをメッシとアレクシスのFWコンビと組ませて攻撃させ、サイドアタックも果敢に行なった。

1 / 2

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る