【ドイツ】ドルトムント2連覇達成、香川真司「これがすべてではない」

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • 木場健蔵●写真 photo by Koba Kenzo

試合後、サポーターの歓声に応える香川試合後、サポーターの歓声に応える香川「もう最高!」

 香川真司は、2年連続優勝の感触をそう表現するしかなかった。試合を終え、ピッチ上からロッカールームまで延々と続いた歓喜の輪を抜けて取材陣の前にあらわれた香川は、上半身はだかでずぶぬれ。大量のビールを文字通り浴び、少々口にもしたようでほろ酔いの様子だった。

「ビールの味も最高ですね!僕にはちょっと(アルコールが)強いけど」

 笑いを誘いながら、染まった頬に喜びの表情を浮かべた。

 香川が常に口にするのは「自分のゴールで試合に勝ちたい」ということ。勝ちはしたものの、自分が得点機に絡めない、ゴール前で納得するプレイができなければ憮然とした表情を隠さない。「チームが勝ってよかった」としつつも、元気がないか、不機嫌かのどちらかだ。

 この日は本人が何度も繰り返したように「最高」の形だった。勝利を決定づける2点目を自らあげ、チームを優勝に導いた。試合翌日のドイツ大衆紙ビルトは、表紙に香川とクロップ監督の抱き合う写真を載せ、サッカー面では香川の写真をいくつも使っていた。さらにはこの日のベストゴールにまで選出、先制点をあげたペリシッチが気の毒になるほどの扱いだ。

 ボルシア・メンヘングラードバッハをホームに迎えたこの一戦。ゴール前でシュートチャンスにめぐまれながら、完全にミートしなかったり、タイミング悪く打ち切れなかったりするシーンが続いた。前半だけでも少なくとも5本は シュートを外している。後半6分には右サイドをえぐったブラシコフスキーからマイナスのボールを受け、ターンを入れて目の前の相手をかわしたまではよかったが、その後シュートを打ち切れず、味方さえもいらついて天をあおいだ。

1 / 2

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る