【ドイツ】香川「いっぱいいっぱい」も、ドルトムント連覇へ王手 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

「フリーになることも多かったからチャンスにする自信はあったが......」
 
 0-1で迎えた前半18分、コーナーキックからのこぼれ球を香川が拾いピスチェクにつなげたところから、ドルトムントの同点ゴールが生まれた。ピスチェクは粘ってシュート態勢に持ち込み、左サイドの角度がない位置からのすばらしいシュートが決まる。香川のパスはアシストとしては記録されなかった。

 それでも後半になり、高い位置でパスを受ける回数は増えた。だが今度は「自分に前に行く力がなかった」。

 試合終盤はチームのために守備に徹し、プレスにも奔走したが、それが精一杯だった。「今日負けていたらバイエルン戦に勝った意味がなくなっていた」と、心底ほっとした、そして疲れ切った様子で話した(結果は2-1)。
 
 一方、この試合で、キレのある動きとクオリティを見せたのはシャルケの内田篤人のほうだった。対面したグロスクロイツとの1対1にはことごとく勝っていた。華奢なため、対人プレイをコンタクトでなく、間合いとコンビネーションで乗り切ってきた内田のイメージはなかった。大柄なグロスクロイツ相手に、ひるまずぶつかっていく。

「インターセプトも狙えていた」と語る通り、冴えた守備でチームに貢献した。
 
「ダービーは日本にはない感覚。サポーターもシャルケを応援するのではなく、『シャイセ(英語のShitに相当する)ドルトムント』と言う。こんな試合に出られてうれしい」と、高いモチベーションで臨んだことをうかがわせた。内田の課題は、常にこのようなモチベーションで臨めるかどうか。残念ながら今季の内田は、この日のプレイをシーズンを通して続けることができなかった。

 この日、バイエルンがマインツに引き分けたため、勝ち点差は8にまで広がり、ドルトムントは次節、ホームで優勝を決める可能性が出てきた。

「次で決めるつもりで」と香川。2連覇は自分のゴールでと決意して臨むに違いない。

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