2012.04.13

【スペイン】 欧州を席巻するビルバオ旋風。
名将・ビエルサの攻撃的サッカーを見逃すな!

  • 山本美智子●取材・文 text by Michiko Yamamoto
  • photo by Rafa Huerta

 美しく内容のいいプレイが構築できれば、結果は自然とついてくる。これがビエルサのサッカーコンセプトだ。バルセロナ監督のジョゼップ・グアルディオラは、監督としてだけでなく、記者会見の受け答えなど、全てにおいてビエルサに影響を受けたといい、「人としてもプロとしても尊敬している」と公言している。

 実際、グアルディオラはバルセロナの監督に就任する前に、ビエルサのところへ直々に教えを請いに本人の自宅を訪ねている。ふたりは、ビエルサの自宅で延々11時間も、サッカーについて語り合ったという。

 ビエルサは少しずつ、チームにメスを入れていった。本職はMFのイラオラを右サイドバックに置き、必要とあればMFのハビ・マルティネスをセンターバックで起用する。MFのエレラが負傷すれば、FWのムニアインのポジションを下げ、中盤と前線のつなぎ役に使うなど、限られた駒の特性を知り尽くたうえで最大限に生かし、苦境を切り抜ける。ビエルサ・メソッドは徐々に効力を発揮するようになった。

 イラオラとアウルテネチェの両サイドバックの攻守の切り替え、ハビ・マルティネスやエレラの安定した中盤、積極的にプレスをかけることをいとわない前線のムニアインとジョレンテと、今のビルバオには、見所が満載だ。

 現在、リーグ戦では8位、国王杯ではバルセロナと共にファイナリストになり、ヨーロッパリーグではマンチェスター・ユナテッドやシャルケを下してベスト4に残っている。

 限られた条件のもと、1年目にこれだけ納得のいく内容が伴うゲームを展開しながら、結果を出しているのは驚異的といえるだろう。

 バルセロナがグアルディオラの後任にとビエルサを狙い、チェルシーも巨額オファーを出すなど、欧州で人気沸騰中なのも当然といえる。もっとも、本人は聞く耳を持たずに自身の仕事に専念している。

 代表レベルに置き換えても、現在、ビルバオのトップチームからスペイン代表に4人、また、オリンピック代表にも4人の選手を輩出している。ビルバオが再び、スペイン代表の礎となる若手を育て始めているのだ。

 ビエルサの通称である'loco'は、直訳すれば「狂人」だが同時に「並外れた」という意味もある。ビエルサの率いるビルバオがどこまで伸びていくのか。それはまさに神のみぞ知る領域なのかもしれない。

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