【スペイン】首位独走。好調レアル・マドリードの強さの要因

  • 山本美智子●取材・文 text by Michiko Yamamoto
  • ラファ・ウエルタ●撮影 photo by Rafa Huerta

 もちろん、今季、すでに32ゴールをマークし、メッシと1ゴール差で得点王争いをリードしているロナウドが、攻撃の主軸であることに疑問の余地はない。

 現在、レアル・マドリードが実力を発揮し、首位を走り続けている事実は、モウリーニョが監督に就任した時に話していたとおりに計画が進んでいることを示している。それを思うと、あらためてモウリーニョという監督の力量に脱帽せざるを得ない。

 就任直後、モウリーニョは「ロナウドを中心としたシステムを確立する」と決めていた。それは自身の経験から、機能する軸になるシステムを作ることが成功の秘訣だと学んでいたからだ。

 また、「ベンゼマやロナウドのような選手を手にしながら、2年も3年も無冠で過ごすことなどありえない」とも話している。ここにイグアインの名前が出ていないことも興味深い。モウリーニョにとって最初から攻撃の要として認識していたのは、ロナウドとベンゼマのふたりだったのだ。

 そして「最初の年は機能しないかもしれない」とも話していた。だが、その理由はモウリーニョ自身ではなく、「選手サイドにある」とも公言しているのが、いかにもモウリーニョらしい。いわく「多くの選手は、自分のことを実際の実力以上の選手だと思い込んでいる」というのがモウリーニョの持論だ。

 モウリーニョ就任以前のレアルがどうしてタイトルをとれなかったのかについても、その回答は明快だ。「ようやく、選手達と同等かそれ以上のタイトルを持っている監督が来た。今までのレアルの監督はそうじゃないケースが多かった」からだ。

 今のレアルの選手が過去に獲得したのと同じぐらいの数の優勝トロフィーを持つ監督がやってきて、クラブはその監督が満足する環境を作り上げた。

 昨年は国王杯というタイトルを手にして助走を終えた今、準備は完璧に整った。レアル・マドリードは、終盤戦に向けて、バルセロナ、バレンシア、ビルバオ、A・マドリード、セビージャと、多くの難敵との対戦を残しており、注目度はさらに上昇するだろう。

 最近、ネイマール(サンパウロ)やロナウドがゴールを決めた後に踊ることですっかり有名になった、ミッシェル・テロの「アイ・シ・エウ・チ・ペゴ」(Ai Se Eu Te Pego)。そのノリのいい曲が、レアルのロッカールームでは選手のモチベーションを上げるために使われている。

 この歌で主人公を悩殺しているのは女性だが、リーガ・エスパニョーラを悩殺する「キラー」は、仕掛け人がモウリーニョ、実際の仕事人がロナウドということになるのだろうか。「必殺仕事人」の腕の見せ所はこれからだ。

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