【スペイン】クラシコはドロー!それでも自信を取り戻したレアル・マドリード (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi
  • photo by Getty Images

 レアル・マドリードの何が変わったのだろうか。モウリーニョはこれまで試合ごとにメンバー、システムを変えバルセロナ戦に挑んできたが、結果は力の差を感じさせる敗戦、もしくは善戦で終わっていた。

 モウリーニョ監督就任以降のバルセロナとの対戦全成績は1勝5敗4引き分け。唯一の勝利は一発勝負であるバレンシアで行なわれた昨シーズンの国王杯決勝だった。今回の対戦と共通していたのは、次の対戦のことを考えずに全力でぶつかれる背水の陣とも言える試合だったことだ。それはスペイン・スーパーカップ、昨シーズンのチャンピオンズリーグ第2戦も同様で、レアル・マドリードは一発勝負、もしくはホーム&アウェーで戦うトーナメントの第2戦では勝利に近いパフォーマンスを見せ、対戦成績でも1勝1敗2引き分けとバルセロナ相手に五分の成績を残している。

 それではなぜ第1戦からそのサッカーができないのだろうか。完全に払拭できていない5対0の敗戦(2010年)のトラウマ、エースの働き、バルセロナのモチベーションの高さ、攻撃的なスタイルのために守備的なサッカーができないなど、理由はいろいろとあげられているが、後のない試合での成績を考えると、初戦やリーガの戦いでは、クラブとしてこれまで築き上げてきた歴史や名声を失うという恐怖心が選手の足を動かなくさせ、自信を奪っているのではないか。実際に12月のリーガでの戦いや国王杯第1戦では、バルセロナにリードを許した時点で試合が終了したかのような雰囲気が感じ取れたものだった。

 だが今回の対戦は打倒バルセロナのヒントになったはず。勝利をあげることはできなかったものの、試合後の選手たちはそれぞれ「レアル・マドリードの誇りを見せられた」と自信を見せている。バルセロナ戦で必要不可欠な気持ちの強さを取り戻したのだ。次のクラシコの舞台、今回のような強い気持ちで戦うことができれば、レアル・マドリードに勝利の女神が微笑むかもしれない。

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