【スペイン】メッシがバロンドールを獲得できた最大の要因、「マシア・メソッド」とは!? (3ページ目)

  • 山本美智子●文 text by Michiko Yamamoto
  • photo by Getty Images

 もちろん、食生活だけでは負傷は防げない。そこで、フィジオセラピストのフアンホ・ブラウがメッシ専属でつくように配した。もともと負傷した選手の回復を手伝う役割のフアンホ・ブラウは、もちろんバルサのトップチーム全体のケアもしているが、メッシに関していえば、そのケアは24時間365日体制だ。

 メッシがアルゼンチン代表でプレイする時も、フアンホ・ブラウは同行する。メッシ自身、少しでも体調が悪ければ、フアンホ・ブラウには逐一、相談する。それを彼が必要に応じて監督に報告する。フアンホ・ブラウは、メッシからの絶対的な信頼を得ているだけでなく、休暇の時には一緒に過ごすほど仲もいい。そんな彼が現在のメッシのフィジカルコンディションの鍵を握っているのは言うまでもない。

 さらに、フィジカル面のケアをフアンホ・ブラウにまかせ、残りの生活面での不自由がないように気を配るのが、コーチスタッフのひとり、ペペ・コスタの役目だ。代表戦、授賞式、スポンサー絡みのイベントなど、ありとあらゆる場で必要な解決にあたる裏方をつとめている。

 ペペ・コスタ自身、バルセロナでセンターバックとしてプレイしていたこともあり、クラブのことは熟知している。その一方で、ペペ・コスタは、中南米との強いコネクションを持っており、バルセロナへの移籍話があると、まず、彼が窓口になるくらい信頼され、重用されている。彼は選手とスタッフコーチをつなぐ橋渡し役でもあり、当然、メッシからの信頼も厚い。

 才能がある選手の才能以外の部分の徹底ケア。それがグアルディオラが編み出した「メッシ完璧化・メソッド」とでも言うべきものだ。

 3度目のバロンドールを受賞したメッシは、自身のHPを通して彼らに語りかけている。

「このバロンドールは、今まで一緒にいてくれた人達、一緒にいてくれる人達、これから一緒にいてくれる人達、皆さんのものです。心からどうもありがとう」

 その台詞(せりふ)とともに、メッシが差し出しているバロンドールの色が一瞬、バルサカラーに変わる。これがすべてを語りつくしている。

 グアルディオラを軸とするフアンホ・ブラウ、ペペ・コスタのトライアングルが機能し、メッシ自身が周囲から注がれる太陽や水のおかげで自らが成長していることを自覚している限り、メッシはバロンドールにも劣らない輝きをこれからも放ち続けることだろう。

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