古橋亨梧や旗手怜央らの活躍を横目に、井手口陽介が抱えていた苦悩「このままだとサッカー人生が終わってしまう」

  • 高村美砂●取材・構成 text by Takamura Misa
  • photo by Getty Images

アビスパ福岡
井手口陽介インタビュー(前編)

セルティック在籍時も井手口陽介は黙々とトレーニングに励んでいたが...セルティック在籍時も井手口陽介は黙々とトレーニングに励んでいたが...この記事に関連する写真を見る 2月7日、セルティック(スコットランド)に所属する井手口陽介のアビスパ福岡への期限付き移籍が発表された。「25歳はサッカー界では若くない。年齢的にもラストチャンス」という覚悟を胸に、自身にとっては2度目となる"海外"へ渡ったのが、2021年末。それからおよそ1年、出場機会に恵まれない時間が続いていたなかで、井手口は再びJリーグへの復帰を決めた。それはなぜか。そして「本音を言えば、怖かった」と話したその真意と"これから"について話を聞いた――。

「このままだとサッカー人生が終わってしまう」

 自分に対するそんな危機感を抱き始めたのは、セルティックでの2シーズン目、2022-2023シーズンが始まってからだという。思えば、2021年12月に移籍してすぐに戦った2021-2022シーズンも、デビュー戦となったカップ戦での負傷が響き、わずか6試合(カップ戦も含む)にしか絡めなかったが、その時はまだ、自分が置かれている現状にもポジティブに向き合えていた。

「最初のケガで少し長い離脱にはなってしまいましたけど、ボス(アンジェ・ポステコグルー)のサッカー観に触れ、横浜F・マリノス時代と似たような感じの、攻守の切り替えが速い、縦にスピーディなサッカーにはすごく魅力を感じていたし、ボスの指導から得られる刺激も多かったので、すごくポジティブにサッカーと向き合っていました。

 結果的にたくさんの試合には絡めなかったですけど、自分としてはここでしっかりアピールして勝負するという思いに揺らぎはなかったし、新シーズンに向けてしっかり自分をアピールしてチャンスをつかむことだけに気持ちを注いでいました。

 正直、スコットランドリーグにおけるセルティックの戦いを見て、僕みたいなプレースタイルの選手は生きづらいかもな、とは思っていたけど、逆にそこで自分が生きようとすることで、成長できる部分があるんじゃないかと考えていました」

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