井手口陽介が2度目の海外移籍から1年でJ復帰を決めたわけ「要は嫉妬です」「頭をガツンと殴られたような気がした」

  • 高村美砂●取材・構成 text by Takamura Misa
  • photo by J.LEAGUE/J.LEAGUE via Getty Images

アビスパ福岡
井手口陽介インタビュー(後編)

◆前編/古橋や旗手らの活躍を横目に、井手口陽介が抱えていた苦悩>>

この2月、アビスパ福岡への移籍を決めた井手口陽介この2月、アビスパ福岡への移籍を決めた井手口陽介この記事に関連する写真を見る 2021年末に2度目の海外となるセルティックへの移籍を決断した井手口陽介だったが、出場機会を得られない状況が続くなかで、次第にチームを離れることを考えるようになっていく。そのなかでは、日本への復帰を逡巡するところもあり、再び"海外"でのプレーを追い求めるつもりだったが、その考えは、ある出来事をきっかけにして払拭される。

 ワールドカップ・カタール大会だ。日本代表が躍動する姿を見て初めて自分のなかに芽生えた嫉妬心は、サッカーへの欲を募らせた。

「正直、僕はこれまで日本代表の戦いを見て刺激を受けるようなことはなかったんです。でも、去年の末にカタールW杯で戦う日本代表の姿を見て、初めてめちゃめちゃ気持ちが熱くなったというか。強豪相手に日本の選手が躍動している姿を見て、刺激を受けたし、なんなら自分より年下の選手が活躍しているのを見て、『自分は何をしているんや?』『こんなにみんなが頑張っているのに、なんで自分はここでくすぶっているんや?』と。

 要は嫉妬です。あの舞台でイキイキとサッカーをしている日本代表の選手がめちゃめちゃ羨ましかったし、早くサッカーをしたい、試合を戦いたいという気持ちにもさせられて......頭をガツンと殴られたような気がしました」

 そしてそのことは、何も結果を残せなかったという現実に目を背けて"海外"にすがろうとしている自分を断ちきるきっかけにもなった。

「今回のセルティックへの移籍は、『もう一回、海外にチャレンジしたい』という僕の思いだけで決めた移籍で、妻と3人の子どもたちには『とにかく、ついてきてほしい』とお願いして、一緒に来てもらったんです。なのに、まったく何の結果も残せず、つらい思いしかさせていなくて......。

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