森島寛晃が引退後も渇望するリーグタイトル。「セレッソじゃなきゃダメなんです」の言葉が示すチーム愛 (2ページ目)

  • 佐藤俊●取材・文 text by Sato Shun
  • photo by Getty Images

 森島は、17年前の出来事をまるで昨日あったことのように悔しさをにじませた。森島にとって、セレッソにとって、2005年はどういうシーズンだったのだろうか。

「1994年からセレッソで戦ってきて、一番バランスがいいチームだった。若い選手がいて、助っ人もいい選手がいたし、本当にサッカーが楽しかった。タイトルは獲れなかったけど、2000年の時より経験を積んでチームとしても個人として成長して、最後にタイトルを賭けて戦えた。勝ちきれなかったけど、個人的にはすごく充実したいいシーズンでした」

 森島は、2005年に優勝をあと一歩のところで逃し、その悔しさを味わった。だが、本当の悔しさは、リーグ戦を制したチームがその優勝経験を糧に強いチームへと変貌していく姿をまざまざと見せつけられたことにある。

「自分らは5位まで落ちて、優勝をもっていったのがガンバ(苦笑)。ガンバがこのリーグ優勝をきっかけにチーム力を上げてACLとか数々のタイトルを積み重ねていくじゃないですか。逆にうちはガンバに勝てなくなって、実績とかもかなり離されていくんです。そこで改めてリーグ優勝することがいかに大事なことなのか。優勝することで、どのくらいチームが成長するのか。リーグ戦に勝つことの大きさ、重みみたいなものをすごく感じました」

 セレッソは、2005年に続き翌年もリーグ戦ではガンバに全敗した。2007年から09年まではJ2に陥落していたため、大阪ダービーは実現しなかった。その間、ガンバはナビスコ杯、ACL、天皇杯などのタイトルを獲り、実績を積み重ねて強豪クラブとして成り上がっていった。2010年、セレッソはJ1に復帰したが、ガンバ戦の勝利は2012年3月の長居まで待つことになる。

 森島は、2008年、現役引退を決めた。

 2007年に首を痛めて5試合しかプレーできず、2008年は1試合の出場に終わり、ほとんどプレーができなかった。それまで、長くチームを離れたことがなく、36歳と年齢を重ねてきたこともあり、生涯セレッソでユニフォームを脱いだ。

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