Jリーグ終盤戦の見どころを福田正博が解説。優勝へひた走る横浜FMとACL争い。残留争いは混沌

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Sano Miki

福田正博 フットボール原論

■現在23節までが終了しているJ1は、この猛暑のなか早くも終盤戦に入っていく。優勝争いは横浜F・マリノスが一歩抜け出たが、ACL出場権争いも含めまだまだ分からない状況。残留争いは多くのチームが関わりそうで混沌としている。ここからの注目点と各チームの状況を、福田正博氏に解説してもらった。

誰がスタメンでも強い横浜FM

 横浜F・マリノスにとっては、3シーズンぶりのJ1制覇に大きく近づく1勝だったと思う。

 E-1サッカー選手権による中断明けの7月30日、横浜FMは鹿島アントラーズを2-0で下した。リーグタイトルを争う眼下のライバルとの直接対決で勝ち点3を手にし、その差を8へと広げたからだ。

鹿島との首位決戦を制し、優勝へ走り出した横浜F・マリノス鹿島との首位決戦を制し、優勝へ走り出した横浜F・マリノスこの記事に関連する写真を見る もちろん、勝負事は下駄を履くまでわからない。ただ、残りは11試合(7/31時点)あるとはいえ、今シーズンの横浜FMの戦いぶりから考えると、ここから成績がガクッと落ちることは想定しにくい。

 攻撃はアンデルソン・ロペスを1トップに据え、トップ下にはE-1選手権の日本代表としてプレーした西村拓真が入る。ただ、横浜FMの攻撃陣は誰がスタメンを張っても、その力はほとんど変わらない。それが今シーズンのこのチームの最大の強みと言っていいだろう。

 その最たるものが、アンデルソン・ロペスがツバ吐きにより出場停止処分を受けた5月25日から7月6日までのリーグ戦6試合だった。この間、1トップに入ったレオ・セアラが6ゴールを奪うなど、チーム全体で18得点を奪って6連勝を飾ったのだ。

 鹿島戦ではアンデルソン・ロペスがスタメンに復帰し、レオ・セアラは後半30分からの途中出場となったが、ここからしばらく続く夏の暑いコンディションのなかで、この両FWを使い分けながら戦っていけるのは、覇権奪回への大きなメリットだろう。

 守備陣は大黒柱だったセンターバック(CB)チアゴ・マルチンス(現ニューヨーク・シティ)が開幕直前に抜けた穴を心配していたが、サガン鳥栖から獲得したエドゥアルドが早々にチームにフィットしたのが大きかった。

 攻撃的なスタイルをとるチームだけに失点が極端に少ないわけではないものの、エドゥアルドに岩田智輝と畠中槙之輔を含めた3選手でまわしてきたCBは、これから終盤戦にかけて累積警告などで出場停止があったとしても大崩れはないはずだ。

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