福田正博がパリ・サンジェルマンに感じた2つの「速さ」。日本サッカーとの大きな違いを指摘 (2ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Fujita Masato

1試合のなかでのペース配分の違い

 PSGとJリーグ3チームとの試合で、もうひとつ「速さ」の部分で考えさせられた。それは試合のなかでのペース配分や、試合展開のメリハリのつけ方。これは以前から海外クラブの試合を見ていて感じることだが、そこでの差を感じた。

 たとえばJリーグの試合展開は、とにかく速い。相手からボールを奪うと、攻撃に転じるためのパスを選択する。カウンター攻撃はもちろん、ボールポゼッションを高めるスタイルをとるチームでも、ボールを奪えばとにかく攻撃に移っていく。

 相手が攻め込んでくれば、それだけ相手の守備陣形は崩れ、相手陣にはこちらの攻撃に使えるスペースが広がっている。だからこそ、攻守の切り替えは重要で、素早く攻めに転じることは間違いではない。

 しかし、海外サッカーを見ていると、相手からボールを奪うと、パスをつないで相手のプレッシャーをかわしたあとは、攻撃をするともなくパスをまわしているだけのシーンも目にする。ボールを持っていない選手たちはゆっくりと移動し、息を整えているかのようでもある。

 こうしたシーンは、PSGの選手たちも日本ツアーで何度か見せている。コンディションが万全ではなかったのも理由にあるかもしれないが、彼らがこういう時間帯をつくるのはリーグ戦などでも同じだ。これは、それもサッカーだという共通認識を持っているからではないだろうか。

 それはなにかと言えば、1試合90分間を最初から最後まで走りきることの困難さ。これを理解しているからこそ、試合のなかのところどころで手を抜くわけではないが、呼吸を整えるかのように体力を温存するのも大切だとわかっているのだろう。

 これができるのは、そういうサッカーを、子どもの頃から見て育っているのも大きい。だからこそ、攻撃のペースを落とすこともサッカーの一部だと体で覚えているのだろう。

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