高校サッカー夏のインターハイ総括。前橋育英、帝京、昌平ほか、冬の選手権で伸びてくるチームはどこか? (3ページ目)

  • 松尾祐希●取材・文・写真
  • text&photo by Matsuo Yuki

ベスト8の大津、矢板中央も冬に向けて可能性

 そのほかでは、昨年の準優勝に続いてベスト4に入った米子北(鳥取県)も堅実な戦いぶりで評価を高めた。前線からのハイプレスとリトリートする守備を使い分け、準決勝では優勝した前橋育英を零封している。PK戦で敗れたものの守備の質は今大会屈指のレベルで、冬の巻き返しは不可能ではない。

 ベスト8では、大津と矢板中央(栃木県)も冬に向けて可能性を感じさせたチームだ。

 大津は昨冬の高校サッカー選手権で準優勝を経験したメンバーのほとんどが卒業したため、イチからのスタート。加えて今季は1年生の大型CB五嶋夏生など、経験が浅い選手たちを積極的に起用しながら先を見据えたチーム作りも行なっていた。

 そうしたなかでプロ注目FWの主将・小林俊瑛(3年)を軸に今夏は一戦ごとに成長を遂げ、ベスト8まで勝ち上がった。「今じゃないですから」とは平岡和徳総監督の言葉。冬に向け、成長の肥やしになる経験はできたはずだ。

 矢板中央も、大津同様に昨季のレギュラーが多く抜けたチームだ。だが春先以降、プリンスリーグ関東1部を戦い、Bチームも同2部に参戦して昨季以上の経験を積むことができた。競争力が高まった結果、チーム力がアップ。今大会は伝統の堅守速攻とセットプレーを武器に、優勝候補の一角である東山(京都府)を撃破。全国舞台でも戦える力があることを証明した。

 早期敗退組では履正社(大阪府)と東山が、冬に向けて期待を抱かせるパフォーマンスを見せていた。履正社はプロ注目のアタッカーのMF名願斗哉(3年)、スプリント能力に長けるFW古田和之介(3年)がチームを牽引し、2回戦では神村学園(鹿児島県)を2-0で撃破。相手の武器であるパスワークを封じながら、攻守一体となったサッカーで相手につけ入る隙を与えなかった。

 惜しくも3回戦で湘南工科大附(神奈川県)にPK負けを喫したが、190cmの大型CB平井佑亮(3年)が大会途中に負傷しながら勝ち進めたのはプラスの材料。万全の状態で挑めていれば4強入りも現実的だっただけに、ここからの戦いぶりに注目したい。

 東山はセレッソ大阪内定のMF阪田澪哉(3年)らを擁した攻撃力が評価され、優勝候補の一角に挙げられていた。今大会は3回戦で矢板中央にPK戦で敗れたが、攻撃陣の破壊力はやはり全国屈指のレベル。相手に守りを固められた際の崩し方のバリエーションを増やせれば、冬に周囲を驚かせる結果を残す可能性は決して小さくない。

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