「オールドルーキー」になって3年。元サッカー日本代表・坪井慶介が振り返る引退の寂しさと息子たちに話したこと (3ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

辞めた翌年のキャンプ取材で引退を実感

――サッカーに限らず、アスリートは現役時代の刺激を忘れられないと言いますよね。

「非現実な世界ですからね。スタジアムには多い時は5、6万人の観客が詰めかけて、それだけの人のなかで一瞬、一瞬にすべてをかけてプレーをする情熱、熱量というものは、ほかには代えられない。

 そこからどうやって気持ちを切り替えて、離していくかは、アスリートにとって重要だと思います。幸い、いい終わり方ができて未練なく切り替えることができた私でさえ、あのスタジアムでプレーしている選手たちを羨ましく思う時はありますからね」

――引退後に現役の頃を思い出して、寂しさを覚えたことはありました?

「辞めて1、2カ月くらいは清々しい思いでしたよ。『もう練習しなくていいんだ』『もう寝る時間や食事の節制とか、ビール飲んじゃいけないとか、そんなこと考えなくていいんだ』と、開放感を覚えていました。

 でも初めてキャンプの取材に行った時に『そっか、いつもだったらここで体を動かして、シーズンに向けて体と気持ちをみんなで作っていくんだよな』と、初めて自分が引退したことを実感したんです。自分はもう完全に外野の人間なんだなって、ちょっと寂しくなりましたね」
(後編につづく>>)

坪井慶介
つぼい・けいすけ/1979年9月16日生まれ。東京都出身。四日市中央工業高校、福岡大学を経て、2002年に浦和レッズ入り。俊足を生かしたDFとしてチームの数々のタイトル獲得に貢献した。日本代表としても国際Aマッチ40試合出場。その後、湘南ベルマーレ、レノファ山口FCでプレーし、2019シーズンを最後に現役引退。現在は解説業のほか、タレントとして幅広い活動をしている。

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