2022シーズンJ2の中間報告。J2ウォッチャー平畠啓史さんが教える注目チームの面白ポイント (3ページ目)

  • 池田タツ●取材・文 text by Ikeda Tatsu
  • photo by Getty Images

ベガルタ仙台の主導権を握るサッカーに好感

 ベガルタ仙台は、選手の個々の質がやっぱり高い。

 仙台ってこれまでは耐えて耐えて戦うイメージのあるチームでした。新潟含め、寒い地域はそういうところが多いじゃないですか。僕ら外野は見ている人たちも、そうしたサッカーが好きなんだろうと勝手に思ってたりする。

 でも、Jリーグが始まってまだ30年で、クラブカラーとかスタイルってそんな簡単にできあがらないと思うんですよ。結局はその時の監督さんが志向するサッカー。

 新潟や仙台のサッカーを、周りが勝手に思いすぎている。仙台も新潟もつないでもいい。なんなら守備をちょっとおろそかにして、攻撃に力を入れたっていいわけですよ。

 今年の仙台は、自分たちでボールを持って主導権を握ろうというサッカーが出てきていて、見ていてすごくいいなと思います。今年の仙台とやったら、10試合戦って6〜7試合は仙台が勝つだろうなと思わせる内容のサッカーをしてますよね。

 選手層も含めて、J2のなかでは質が高いなと思います。失点が多いのが若干気になるところではありますが。

 この上位3つに、食い込んでくるのではないかと期待しているのが、V・ファーレン長崎です。長崎は持っているチームの力の100%が出ていない。まだすべてを出しきれていないのに、4位にいるんですよね。

 新しい監督(ファビオ・カリーレ)に変わって期待しています。このチームのポテンシャルが出たら、もっと上に行くんじゃないかと。新しい監督はブラジル人で長崎にはブラジル人選手が多いので、うまく彼らの力を引き出しそうです。今季ここまではブラジル人選手がハツラツとプレーしている感じがなかったので、いいきっかけになるんじゃないでしょうか。

 徳島ヴォルティスと大分トリニータは、ルヴァンカップによる過密スケジュールの負担が相当に大きかったように思います。これはJリーグとして見直すべき事案じゃないかと野々村芳和チェアマンに聞いてみたいですね。

 あとはシーズン前に「J1からカテゴリーを下げてきたチームはボールを持てるようになるけど、それが本当にプラスに出るのかどうなのか」と、僕自身スポルティーバの取材で話していましたが、この両チームはやはりちょっとそれが難しいほうに出ているのかなと。

 大分はボールを持てているんですが、縦に行ける井上健太選手や藤本一輝選手が試合に出だしてから好転してますよね。横に横にの力だけじゃなく、個の力で縦にいけるようになったから、ポゼッションも活きてくるいい循環が起きて、順位があがってきている印象です。

 徳島はボールを持てるけど、その先どうすればいいかというところがあるように思います。だいぶ持ち方も研究されてしまっていて、相手もあまりスライドしないでも守れてしまっている試合もありますよね。

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