ピーター・ウタカのお団子ヘアの秘密。妻が「すごくキュートよ!」。そのまま試合に出て2ゴール (3ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

日本とナイジェリアの橋渡し役になりたい

「現役を退いたら、まずはファッションを突き詰めてみたいと思う」と、ウタカは楽しい未来を想像するように続ける。

「自分のブランドを広げて、パリやミラノ、ロンドンといったファッションの最前線も見てみたい。

 でも一番興味があるのは、フットボール・エージェントになることだ。なぜなら、僕は日本で長くプレーし、この国にいいコネクションがたくさんある。そしてナイジェリアにはいい選手が多いけど、チャンスに巡り会えない選手が少なからずいる。自分はフットボールのことを熟知しているし、両国に太いつながりもあるので、日本とナイジェリアのフットボールをつなぐ橋渡し役になりたいんだ。

 若い選手たちには、夢や希望を持ってもらいたいし、どんなことでも願い続けて努力すれば、叶うものだと知ってほしい。ナイジェリアでは、本当に多くの人が貧困にあえぎ、才能に恵まれていてもそれを開花させるチャンスがないケースも多い。そうした環境を少しでも改善させることができればうれしいね。自分のこれまでのキャリアを考えると、おそらくそれは僕がやるべきことのなかで、最も重要なもののひとつだと感じているんだ。

 僕はアフリカで生まれ、欧州でプレーし、アジアに来た。そのすべての価値観を知っている。日本でどんな選手が受け入れられるのかもわかっている。ただ能力が高いだけでなく、人柄がよく、仲間に敬意を払い、環境の変化に適応でき、地に足をつけて努力を続けられるような選手だ。

 日本とブラジルの間には、すでに強固なパイプがあるよね。それによって、人生を好転させたブラジル人の若者もたくさんいると思うんだ。でもナイジェリアと日本にはまだそんなつながりがない。それを僕が作っていければ最高だし、関わるすべての人がハッピーになれると信じているよ」
(おわり)

ピーター・ウタカ
Peter Utaka/1984年2月12日生まれ。ナイジェリア・エヌグ出身。京都サンガF.C.所属のFW。2003年にマースメヘレンでデビューしたベルギーでは3チームでプレーし、その後4シーズンを過ごしたデンマークのオーデンセでは、2009-10シーズンに得点王を獲得。2012年からは中国でプレーし、2015年に清水エスパルスへ。翌2016年、サンフレッチェ広島でJ1得点王を獲得。その後FC東京、ヴェイレ(デンマーク)、徳島ヴォルティス、ヴァンフォーレ甲府、2020年から京都でプレーしている。

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