長年点をとり続けるピーター・ウタカが考えるストライカー像。「ひらめきを感じ、即興的にプレーする必要がある」 (3ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

モチベーションが落ちたことは一度もない

 就任1年目で京都をJ1昇格に導いた曺監督については、「練習はすごく厳しいけど、理にかなったものだ。優れた指導者だと思う」と言う。指揮官にとっても、チームでダントツの最年長のベテランが献身的に新しいことに挑み、そのうえゴールまで重ねてくれるのだから、頼もしいはずだ。

 実際、ウタカのそんな姿を見て、若手も奮起しているようだ。今の京都には、「全員が切磋琢磨しようとするいいムードがある。僕も仲間に刺激を受けているし、いいものは自分のプレーに取り入れている」とウタカは明かす。

「暑くなってきたけど、トレーニングが嫌だと感じたことはない」とウタカは両目を輝かせる。「モチベーションが落ちたことは一度もないし、だからこそ、こうして長く選手キャリアを続けていられるんだと思う」

 いくつになっても新しいことに挑み、決定力に磨きをかけ続けるウタカの活躍もあり、昇格組の京都は多くのJ1の常連を差し置いて、中位に入っている。彼が称える「結束力」を維持し、暑い夏を乗りきれば、さらなる高みも見えてくるかもしれない。
(後編につづく>>)

ピーター・ウタカ
Peter Utaka/1984年2月12日生まれ。ナイジェリア・エヌグ出身。京都サンガF.C.所属のFW。2003年にマースメヘレンでデビューしたベルギーでは3チームでプレーし、その後4シーズンを過ごしたデンマークのオーデンセでは、2009-10シーズンに得点王を獲得。2012年からは中国でプレーし、2015年に清水エスパルスへ。翌2016年、サンフレッチェ広島でJ1得点王を獲得。その後FC東京、ヴェイレ(デンマーク)、徳島ヴォルティス、ヴァンフォーレ甲府、2020年から京都でプレーしている。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る