長年点をとり続けるピーター・ウタカが考えるストライカー像。「ひらめきを感じ、即興的にプレーする必要がある」 (2ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

ディフェンス面が上達した

「Jリーグのレベルが高いことは知っていたけど、実際にプレーしてみて、それが本当だとわかった。選手は皆、俊敏で技術も高い。しかも、全体のレベルは年を追うごとに高まっていると感じている」

 おそらく、それはリップサービスではないだろう。ウタカは正直な人に見えるし、そのあとには、日本人選手が改善すべき点もはっきりと口にした。

「日本人はどんな時でもルールを守るし、指導者の教えを仰ごうとするよね。それ自体は悪いことではないんだけど、フットボールのピッチ上で常にそうしていては、うまくいかないと思う。

 とくにストライカーなら、ひらめきを感じ、即興的にプレーする必要がある。当然ながら、重要な瞬間にルールばかりを気にしたり、誰かの指示を待ったりするような暇はない。時には自分の感じたままに体を動かし、思いきり足を振ることも大事なんだ。そのためには、自分を信じ抜く強いメンタリティが必要になるね」

 また技術的には、「GKを外すタイミングでシュートを打てるようになったらいいと思う。ちょっと正直すぎるタイミングのシュートが多い気がする」と指摘する。ただしウタカ自身も、Jリーグでまだまだ成長できていることを日々実感していると言う。38歳になった今もなお。

「フットボールでも人生でも、いくつになっても、成長できるものだよね」と、何ごとにもポジティブに取り組むウタカは言う。

「誰にでも、常に改善の余地があると僕は考えている。フィジカルだって、まだまだ強化できる。筋肉もつけようと思えばつけられるさ。それから近年で言えば、ディフェンス面が上達したと感じている。

 おそらく日本で僕はゴールスコアラーとして知られていると思うけど、それはこれまでの監督が僕にそれを求めてきたからなんだ。でも昨年から京都(サンガF.C.)で指導を受けている曺(貴裁)さんには、得点だけでなく、ハイプレスやアシストも求められている。確かにそれまでは守備が得意とは言えなかったけど、今ではかなり自信がついてきた」

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