家本政明がレフェリー視点で感じた、「これはすごい!」と思った現役日本代表5人 (2ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

2、3歩での爆発力が強烈

古橋亨梧(FW/セルティック)

 古橋亨梧選手は、こう言ったら本当に失礼な話なんですが、会うたびにうまくなっているなと毎回驚きながらもすごくワクワクさせられた選手です。

 会うたびにスピードが増して、トップスピードのなかでのボールコントロールに磨きがかかり、さらにシュートの精度もどんどん上がっていきました。本当に試合ごとにうまくなっていて、この選手はどこまですごい選手になっていくのだろうと思っていました。

 セルティックへ移籍した昨年は、途中までプレーしたJリーグのなかでは、完全に助っ人外国人選手と同じような格の違うプレーを見せつけていました。

 それは、本人の努力はもちろんですが、ヴィッセル神戸時代にアンドレス・イニエスタ選手やダビド・ビジャ選手など、世界的な超一流選手とともにプレーできたことも大きいのだろうなと想像しています。

 スピードがある選手にもいくつかタイプがあって、長い距離が速い選手と言えば、浅野拓磨選手(ボーフム)や永井謙佑選手(名古屋グランパス)が挙げられると思います。古橋選手はとにかく初速が速い。2、3歩での爆発力が強烈で、DFとの駆け引きでは初速の速さで簡単に置き去りにしてしまう印象がありました。同じタイプで言えば、今はチームメイトの前田大然選手がそうですね。

 そんな彼らのスピードに、レフェリーがついて行くのは大変だと思う人もいるかもしれません。もちろんすごく大変なんですけど、対応する術はあります。私の場合は古橋選手に加え、イニエスタ選手、山口蛍選手など3人くらいを常に視野に入れて、受け手7割、出し手3割くらいの感覚で見ていました。

 その3人の動き、とくに古橋選手のステップバックとか、目線、体の向き、DFとの間合いで、いつ走り出して、いつパスが出てくるかがわかりました。出し手のところでつぶされたり、接触がありそうな場合は、それが見える位置に残ります。

 でもその心配がない場合、私はスッと前へ出ていって、カウンターに備えて次の展開が見えやすいポジションへ向かっていました。そういったレフェリーと選手の駆け引きみたいなところもあって、古橋選手との試合は本当に楽しかったですね。

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