アビスパ福岡が打って出た大胆な策。「2年目のジンクス」を打破できるのか

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 しかし、だからこそ、福岡を率いる長谷部茂利監督の打つ手は早かった。

 直近の第19節のFC東京戦で、指揮官はGKを入れ替えるという大胆な策に打って出たのである。

 福岡のゴールマウスはJ2時代の一昨季も含め、GK村上昌謙が長らく守り続けてきた。昨季は38試合中37試合に先発フル出場。今季も第18節まで、全試合に先発フル出場していた。

 だが、福岡は直前の第17節、第18節でいずれも3失点を喫し、"らしくない"形で連敗していた。単に勝てないだけでなく、このままでは自分たちの戦い方を見失いかねない。そんな試合が続いたことが、長谷部監督の決断を促したのだろう。

 村上に代わってピッチに立ったのは、これがJ1リーグ初出場となるGK永石拓海だった。

 もちろん、「(チームの失点は)全員の失点なので、GKだけが悪いわけではない」と長谷部監督。だが、それでも「結果として2試合で6失点している」のは事実。悪い流れを変えるために、何かを変える必要があり、それがGKの入れ替えだったということだろう。

 昨季も含め、福岡が村上の好セーブに救われた試合は数多く、チームを支えてきた守護神を先発から外すことは相当な決断が必要だったはずだ。しかし、言い方を変えれば、チームの大黒柱を外すからこそ、そこに重い意味が生まれてくる。

 選手たちの危機感を煽り、流れを変えるきっかけになれば......。長谷部監督には、そんな思いがあったに違いない。

 結果的に連敗を止めたという意味では、指揮官の決断は吉と出たと言っていい。

 福岡はFC東京相手に先制したあと、一度は逆転を許しながらも同点に追いつき、2-2の引き分けに持ち込んだ。

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