5人交代制の恒久化でサッカー戦術は変化するか。「1トップ3人制」「セット替え」「セットプレーセット投入」など (3ページ目)

  • 後藤健生●文 text by Goto Takeo
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

日本代表は最大限の利用を

 日本代表は6月上旬に4試合を戦った。大きなテーマは「招集外の大迫勇也の代役探し」だった。そして、浅野拓磨や古橋亨梧、上田綺世といった選手が起用されたのだが、結局、「大迫の代役」は見つからないまま終わった。

 守備的ポジションでは、たとえば吉田麻也や冨安健洋のようなキーパーソンであっても、板倉滉というバックアップがいる。だが、ワントップは誰が先発となるのか、いまだに決まっていないのである。

 それなら、「5人交代制」を最大限に利用してみてはどうだろうか?

 最前線の選手は攻撃だけでなく、相手のセンターバックやGKに対してプレッシャーをかけて攻撃を制限するなど、守備の仕事もこなさなくてはならない。とくに、ドイツやスペインのような強豪と戦うためには、トップの選手の負担は大きくなる。それなら、ワントップで3人を使ったらどうなのだろうか?

 疲労のことなど心配せずにとにかく走って、相手DFやGKに対してプレッシャーをかけ続ける。そして、疲労で動きが落ちたら交代させるのだ。30分ずつプレーすればいい。浅野を先発させて、浅野が疲れたら古橋を投入。最後の時間帯には前田大然を入れて、とにかく走り続けるのだ。

 足元のテクニックに優れたドイツのGKマヌエル・ノイアーは、後方でのパスの組み立てに参加する。そのノイアーにプレッシャーをかけ続ければ、ドイツの攻撃のリズムを乱すことができるし、ノイアーのミスを誘発させれば得点のチャンスも生まれる。

 ベンチに15人もの選手がいるのなら、アイスホッケーやフットサルのようにFWのセットを3つくらい作って、局面によって使い分けることもできる。

 たとえば、先発では大迫をワントップに置いて、右に堂安律、左に南野拓実とボールを収めるのがうまい選手を並べておき、後半、相手のDFが疲労を溜め込んだ時間帯に伊東純也、古橋、前田といったスピードスターが揃う「第2セット」を投入すれば効果的ではないか?

 あるいは、三笘薫や板倉、旗手怜央、山根視来といった川崎系の選手を一挙に投入して、先発の守田英正や田中碧を含めてチームを一気に"川崎化"させるという方法も考えられる。試合展開によっては、古橋、前田、旗手を同時に投入させて"セルティック化"させてもいい。

 さらに、どうしてもゴールが必要な状況で試合終盤にセットプレーのチャンスが訪れた場合には、トリックプレーを徹底的に準備させたスペシャルセットを投入するという手も考えられるかもしれない。

 いずれにしても、「5人交代制」をフルに駆使して26人の力を結集しなければ、4試合目を勝ち抜いて目標のベスト8に進むことは不可能だ。

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