山田暢久が選んだ歴代日本人サイドバックトップ10。1位は「真面目さが顔に出ている」あの選手 (3ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

海外で成長したサイドバック

5位 加地亮(元ガンバ大阪ほか)

 僕のあとに日本代表の右サイドバックとして定着して、活躍した選手です。大分トリニータやFC東京でも活躍しましたが、やっぱりガンバ大阪時代が一番印象に残っています。彼のサイドから崩されたことが何度もありました。

 能力としては、攻撃面がとくに印象に残っています。ビルドアップ能力が高くて、高い位置ではドリブル突破もあって、クロスボールも質が高い。チームの攻撃の起点になれる賢い選手でした。

 現代のサッカーで、サイドバックが攻撃面で起点になるのは当たり前になっていますが、加地くんはその点ですごくモダンなサイドバックでした。

 攻撃面だけではなく、守備面においても能力が高くて、そつなくこなせるので、すごくバランスの取れたサイドバックだったと思います。加地くんは嫌かもしれないですけど、僕と似たタイプだなと思っていました。

4位 内田篤人(元シャルケほか)

 ここまでの選手たちと同様にスピードとスタミナもあるし、オーバーラップのタイミングもいい。クレバーでゲームの流れを読むこともできて、さらに自分でゴールを狙える。非常に能力が高かったですね。

 鹿島でデビューした頃は線が細くて、気持ちがプレーに出るタイプの選手という印象で、若さと勢いがありました。あの頃は鹿島が3連覇などすごく強い時代で、強烈な選手が多かった。そのなかで貢献できるのは、それだけですごいことだと思います。「これから出てくる選手なんだろうな」と思っていましたね。

 そこから日本代表に入ったり、海外に行ってすごく伸びましたよね。とくにドイツでのプレーが、彼のプレーの幅や視野を広げたイメージがあります。

 僕もそうでしたが、年齢を重ねたり、経験を積むことで、今までになかった落ち着きや冷静さ、能力、判断というものが出てきて、彼にもそういった面を感じました。

 日本代表では、2010年南アフリカW杯と2014年ブラジルW杯の2度ワールドカップに出場しています。監督が変わっても呼ばれ続けるのはすごいことで、日本代表を象徴するサイドバックのひとりだと思います。

3位 酒井宏樹(浦和レッズ)

 彼はスピード、スタミナ、フィジカルの3つとも高い次元で備えていて、なおかつ身長も高い。サイドバックとしてすごくバランスの取れた選手だと思います。

 今は浦和でプレーしていますが、イメージは柏レイソルとマルセイユ時代が強いですね。レイソルでデビューした当時は、グイグイくるプレースタイルや顔つきを見て「いかついサイドバックが出てきたな」と思いました(笑)。

 彼も海外に行ってからグッと成長した選手でしょう。とくにマルセイユではパリ・サンジェルマンのネイマール選手とマッチアップしたり、ヨーロッパリーグに出場したり、そういう場で一流の選手と対戦して、自分の実力を感じて伸びるきっかけを掴んでいったと思います。

 自分の間合いとか読みとか、いろんな工夫をしながら守備をしていると思うんですけど、自分の特徴を試合で出しながら、トップ選手相手でもそんなに負けることなくやれている。これはすごいです。

 浦和とってその経験は非常にプラスだと思うので、若い選手に伝えていってもらいたいですね。

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