P・ウタカ、パトリック、レオ・シルバ...主力外国人選手の顔ぶれが変わらない現状をどう見るか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

若手のブレイクを妨げる危険性

 FC東京には、Jリーグ8年目のアダイウトン、同7年目のディエゴ・オリヴェイラ、同6年目のレアンドロという3人のブラジル人がいる。湘南ベルマーレのブラジル人FWウェリントンは34歳で、Jリーグ9年目。横浜F・マリノスのブラジル人DFエドゥアルドは10年目、名古屋グランパスのブラジル人FWマテウスも同じく10年目だ。

 新陳代謝が遅れている理由として、ひとつにコロナ禍が考えられる。今シーズンに関しては、そもそも外国人の入国規制が厳しく、満足に補強を行なえなかったという事情がある。

 ただ、コロナ禍になる前から、「外国人選手停滞」の兆候は出ていた。日本人の有力選手が次々に海外に旅立つ一方、計算が立つ外国人選手を手放せなくなった。とはいえ全盛期の活躍も望めず、結果として全体的な地盤沈下が起こっているのだ。

 率直に言って、Jリーグの外国人選手のレベルは低下しているように見える。

 外国人選手は"強力な援軍"として、リーグで突出した働きが求められる。彼らによって、少なからずゲームの魅力が左右される。それはどんな国でも変わらない。人気のリーガ・エスパニョーラもリオネル・メッシ、クリスティアーノ・ロナウドという二大巨頭の勢いが衰えて去った途端、リーグとしての人気も低下せざるを得なかったほどだ。

「まだまだ活躍してくれる」

 ベテラン外国人選手を支持する声もあるだろうが、彼らがJリーグに定着するのは、"うまみ"があるからでもある。クラブによっては破格の年俸が支払われている。「外国人」という銘柄なだけで優遇されているのだ。

 誤解を恐れずに言えば、チームの浮沈を決めるような活躍ができなくなった外国人選手は、若手のブレイクを妨げるだけだ。

 たとえば今シーズン、柏レイソルは若手日本人選手の活躍で順位を上げている。功労者ではあったが、力は落ちていたクリスチアーノを切り捨て、新たな態勢にシフトしたことが好転の理由のひとつだろう。新陳代謝を行ない(代わりのFWにはブラジル人のドウグラスを獲得したので、結果論とも言えるが)、細谷真大のような若手が台頭した。

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