Jリーグ再開で福田正博の注目は外国人監督。3人に共通する「優れたバランス感覚」

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

「勝っていないけどいいサッカー」は、はまりやすい

 一方、監督の志向するスタイルに適性がある選手を集めたチームと言えば、浦和レッズだが、ここまでは苦しい結果が続いている。リーグ戦16試合を終えて2勝9分け5敗で、勝ち点15の14位。今季は優勝を目標に掲げたチームとしては寂しい成績だ。

 浦和のサッカーをよく見ている人々から話を聞くと、「試合内容は悪くない。いいサッカーをしている」という声が多い。たしかにそのとおりなのだが、落とし穴はココにある。というのも、解説の仕事をしていて浦和以外のチームの試合も見るのだが、なにも浦和だけが、いいサッカーをしているわけではないのだ。

 たとえば、現在17位にいる湘南ベルマーレは3勝4分け9敗と苦しい順位にいるが、内容を見ると、いいサッカーをしているのに紙一重の差で負けていることが多い。

 湘南だけではない。つまり、いいと思っているサッカーが勝ちにつながるとは限らないのが、サッカーなのだ。当事者からするとまるで自分たちだけが勝利の女神に見放されているかのように見えるが、その感覚で現在の成績を受け止めていると、シーズンが進むにつれて泥沼にはまり込む可能性がある。

 浦和や湘南に限らず、低迷するヴィッセル神戸や、新監督を迎えた清水エスパルスなど、前半戦に苦労したチームの反撃が見られるのか。

 それが実現すれば、上位陣も波乱に巻き込まれるだけに、さらに混沌としたJ1になっていくはずだ。それだけに、ここからのJリーグは、ますます面白くなっていく予感がしている。

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