上田綺世はラウルと同じ"論理的思考"のストライカー。「小心者」だから「常に考えてサッカーをしている」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by KYODO

 FC東京戦、左サイドから入ってきたボールを中で受けた選手が背後に落とした時、上田は落ち着いてポジションに入った。GKの立ち位置や動きを見極め、右足で左隅に流し込んでいる。滑り込むようにしてボールへインパクトを伝え、ややタイミングもずらしていた。実に冷静な一撃だった。

 上田は理論的で哲学的ですらあるが、そのプレー選択は本能的にも見える。つまり、そこまで思考が極まっているのだろう。相応のフィジカル、テクニックを身につけ、トップスピードでボールを受けながら相手に体を当てられても動じず、前を向ける(FC東京戦でも長友佑都を吹っ飛ばしていた)。3シーズン連続二けた得点などでは足りない。シーズン30得点は狙える実力だ。

 6月シリーズ、上田は代表選手として存在感を示せるか。論理的思考のストライカーが答えに辿り着けたとき――。カタールW杯で世界の度肝を抜くはずだ。

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