鈴木優磨に見る台頭期の本田圭佑の面影。森保一監督は使いこなせるか否か (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by KYODO

元レアルのラウルを彷彿とさせる

 大迫はストライカーながら1トップ下としての素養を備えるが、サイドでは芸を発揮することができない。上田もしかり。サイドバック(SB)に1対1を仕掛け、勝利するだけのドリブル&フェイント力はない。

 前田大然、古橋亨梧(ともにセルティック)、浅野拓磨(ボーフム)らの候補選手は、ウイングもトップもこなすウイング兼ストライカーと言えるが、1トップ下の要素はない。ディフェンダー(相手CB )を背にしたポストプレーは得意ではない。

 一方、アイントラハト・フランクフルトでヨーロッパリーグ(EL)決勝進出を果たし、外せない選手となっている鎌田大地は、言ってみればセンタープレーヤーで、大迫的だ。サイドを縦に突くイメージはない。

 ストライカー兼ウイング兼1トップ下。こうしたタイプは世界的にも珍しい。クリスティアーノ・ロナウド、カリム・ベンゼマ、かつてのティエリ・アンリ、サミュエル・エトー、アンドリー・シェフチェンコなど、ストライカー兼ウイングの名選手は数多くいる。だがこれにトップ下、あるいは中盤的な要素を備えた選手となるとそうザラにいない。

 筆者が唯一イメージできるのは、レアル・マドリードのかつての看板選手ラウル・ゴンサレスだ。左利きながら常にボールを真ん中にセットしているので、右に行くか左に行くかわからない選手だった。名波浩や中村俊輔に代表されるように、多くの左利きの選手が、身体を格闘技で言うところの半身の体勢で開くようにプレーするなかで、ラウルは当時、珍しい存在に映った。プレッシングサッカーの興隆とともに、左利き度がキツい選手、右利き度がキツい選手は減っていくのだが、ラウルはそうした意味で走りの選手だった。

 4-2-3-1の前方の「3-1」をすべてソツなくこなすことができた。

 ラウルがプレーした頃のレアル・マドリードには、フェルナンド・モリエンテス、プレドラグ・ミヤトビッチ、二コラ・アネルカ、ルイス・フィーゴ、ジネディーヌ・ジダン、ロナウドなど、華のあるアタッカーがひしめいていた。

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